アートピースのような美しさと極上のフィット感

老舗、名門と謳われる革靴ブランドは数あるが、比較的歴史は浅いものの、後世に残ることが確実視されているフランスのブランドがある。その名は、コルテ。1990年にピエール・コルテ氏が自身の名前を冠して始めたブランドで、自身が今も監督し靴の製作に携わり、目が細やかに行き届く範囲で、最高峰のものづくりを続けている。例えるなら、従業員数の多い組織的な大企業というより、風通し良く小回りの利くベンチャー企業だろうか。だから、新しいことに挑戦する柔軟な可塑性があり、伝統をおろそかにしない普遍性が、コルテの靴には息づいている。

今回紹介する靴も、まさにクラシックとモダンを持ち合わせた、コルテを代表する一足。「コルテ=アルカ」と名づけられた定番モデルで、甲からつま先にかけてダイナミックで優美な傾斜のついたアッパー、クラシックカーのボンネットのようと例えられる特徴的なトゥをもつラストで作られている。この木型は、コルテ氏と共に働くビスポークの職人チームと、既製靴を作るチームが共同で開発したコルテオリジナル。当初から自社で一貫生産の体制を維持しているだけあって、氏の発想がダイレクトにクラフツマンシップと結実できた好例と言えよう。さらには、全体のバランスをとるためにシューレースは下側で結ぶなど、わずか数十センチの造形物に並々ならぬこだわりが凝縮されている。

次代のドレスファッションを担うコルテの靴。新しい情報やビジネス理論を学んでマインドを常日頃アップデートするエグゼクティブなら、古きよき格式と新しき芸術性をもつ一足をワードローブのなかに加えてもいいかもしれない。

薄く面取りされたソール。職人による手仕事の丁寧さが窺い知れる。なお、コルテ氏は日本の人間国宝にあたるフランスの「メートル・ダール(芸術の匠)」を受賞している
スクエアトゥの一種であるチゼルトゥはコルテの真骨頂を感じる意匠。細身のラストとは裏腹に、足指の付け根部分の幅にゆとりがあるため窮屈さはそこまで感じない
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メゾン コルテ青山
TEL:03‐3400‐5060


text:Masato Nachi
photograph:Kazuya Aoki
styling:Yoshiki Araki