第二十七回「スーツケース次第で出張が野暮ったくなる問題」
「空港で開かれるスーツケースの品評会」
【K】お腹すいたね。ご飯食べてく?
【M】ごめん、明日から急に香港へ出張になって。帰って準備しなきゃ。
【A】また、海外出張? 最近、多いね。
【K】香港かぁ。グルメ、買い物、夜景……♥
【M】観光なんてしている暇ないのよ~。最近はいつもスケジュールパツパツの2泊3日。今回みたいに急な出張はやっぱり焦るから、忘れ物がないかも不安になる。出張が入るたびに、パッキングがラクなビジネス用のスーツケースを買わなきゃって思うんだけど。
【K】最近のビジネス用に特化して作られたものは、多機能で色々便利だもんね。
【A】私も、出張用が欲しいって思っていたところよ。この前の出張でご一緒したSさんのスーツケースに目が釘付けになっちゃってさ。旅行と兼用している私のとは違って、ビジネス顔をちゃんとしていたの。しかもモードでスタイリッシュ。なんていうか「スマートに仕事をしてきます」って感じの出で立ちだったわ。
【K】スーツケースって存在感が大きいから、同行者同士で無言の品評会みたいになるよね(笑)
【M】それあるかも(笑)。いつもダンディなSさんのスーツケース、気になるわ。持っているだけで、仕事に大きなアドバンテージをもたらしてくれそうじゃない。
「出張と旅行とでは、持って行く荷物が違うのよ」
【M】出張と旅行とでは、持って行く荷物が違うじゃない? 出発前の気分も違う。旅行なら優雅にパッキングできるけど、出張となると仕事のことで頭がいっぱい。それ以外のことに気持ちを煩わせたくないし、そうなるとやっぱりパッキングが楽で、PCや書類が取り出しやすいビジネス仕様のものを用意した方がいいかなって。どこへ行こうが、いつもと変わらないスタイルで仕事をしたいもの。
【A】それよ! Sさんのも、ケースの上部がファスナーになってて、PCも書類もそこからサラッとスマートに取り出していたわけよ。ハンドルを収納すれば、ボストンバッグ型になるからクライアント先では手持ちに変えて、ガラガラせず颯爽と歩いていた。横でガラガラしている自分たちが、なんだか恥ずかしくなってさ。
【K】あはは! 光景が目に浮かぶ(笑)。Sさんが、デキル男すぎるのよ。ってことはさ、機内持ち込みOKサイズのそれ一つをお持ちになっていたわけよね。まさにスタイリッシュだわぁ。
【M】ターンテーブルで待つ時間を短縮できるのはもちろん、ロストバゲージの心配もいらないしね。
【K】ロストバゲージは、なさそうで珍しくない話なのよ。友人がね、アメリカの複数都市を移動する出張に行ったとき、現地で次の都市へ行く便を変更したんだって。そしたらなぜか、預けた荷物が東京に行っちゃったんだって!
【A】それ、怖すぎるんだけど(汗)。実際、スケジュールパツパツの出張でそんなトラブルがあったら……
【M】泡吹いて倒れるしかないわ。
「出張が多い人は今すぐ買うべき」
【K】出張に使うスーツケースは見た目だけでもだめ、機能面だけでもだめ。両方が揃ったものがパーフェクトってことね。
【A】そう、ちゃんと「ビジネスシーンで」品格を与えるものが良いって思った。もう、普段のビジネスバッグの延長と捉えるのが正解かも。男性がビジネスシーンで、休日用のおしゃれなバッグを持っていたら変でしょ?
【M】そうね、大人は持ち物にもTPOを求められるものね。Sさんがパーフェクトなダンディに見えるのはきっとそれなのよ。着ているもの、持っているものにソツがないなぁって思うもの。
【A】ちなみに彼のスーツケースはヴォシェールだった。
【M】やだ、私が目をつけていたのもヴォシェール(笑)
【K】今から買いに行った方が、パッキングが早く終わったりして(笑)。帰国してからだと、また機会を逃しちゃうよ?
【M】確かに(笑)
【今回ご協力いただいた方】
彼のご登場に、思わず後ずさりしそうになったほどのオーラの持ち主。「何でも知っている玄人感」を漂わせつつのジェントルマンな応対が印象的でした。さらに驚いたのが、大学の卒業を待たずにイタリアのサッカーリーグに所属されたという異色の経歴。「爽やかさをウリにしていた時代もありました」とハニカミながら微笑む新井さんにスタッフは胸を射抜かれたのでした。
【男の身だしなみ向上委員会 by re*colabo】
今の時代、仕事をする上でどれだけ女性の心を掴むかというのは大きなアドバンテージ。そこで、男性の身だしなみを女性たちは実際にどうみているのかを、女性ファッションライターの目線から本音で語ります。身に付けるものは、本人のイメージを左右する重要なファクターであり、気付いていなかったことを改善することにより、改めて身だしなみを整える一歩になれば嬉しく思います。
re*colabo
女性誌出身のクリエイティブ&ライターチーム。これまでに光文社「STORY」、講談社「フォルツァスタイル」など数々の媒体や、書籍で執筆。また、航空会社のオリジナル商品を手掛けるなど、女性ならではの視点で多くのヒット商品を生み出している。その他、女性の心を鋭く分析するマーケティング調査が人気であり、大手化粧品会社ほか、さまざまな企業から依頼を受けている。
マリ(中央)
re*colabo代表。ファッション系出身ライター。「大人だからできる」シックなコンサバを推奨。内面を映すスタイリングに定評あり。
クミ(右)
元バンカーの生真面目ライター。ファッション、グルメ、トラベルなど多岐に渡り執筆。シンプルで「カッコいい」装いが得意。re*colaboで一番マナーやルールに拘りあり。
アキ(左)
人物取材が得意。10代半ばから20代後半まで、フランスとアメリカへ留学。結婚を機に夫の転勤に伴いアメリカにて駐在妻を経験。帰国後ライターに。
photo:kuma*
text:re*colabo