離陸後、飛行機の窓からもオーロラに出合うチャンスあり!

ラップランド地方では放牧されたトナカイたちにあちこちで遭遇する。

オーロラを観賞し、本場のサウナを体験する。この地方ならではの楽しい時間を満喫した。旅を終えてクルマでキッティラ空港へ向かう途中、運転手が何度かブレーキを踏む。窓を開けてみると、放牧されたトナカイの群れが目の前を横切っていくのどかな光景に遭遇した。12月に入った今、現地はもう、雪に覆われはじめているはずだ。

冬のラップランド地方も、また格別の味わいがある。「極夜(夏の白夜の反対)」の季節は、夜が長い。そのぶん、オーロラ観賞にはもってこいだ。サウナも、本来は一面の雪景色の中でこそ体験してほしい。日本でいう「かんじき」のようなスノーシューズを履いてプロのガイドとともに雪深い森の中へ分け入っていく、そんなユニークなアクティビティもある。太陽がかろうじて頭上に居座ってくれる3時間ほどを利用してのわくわくするような冒険だ。全身をゴム製の防水スーツで覆い隠して極寒の川にぷかぷか浮かぶ「フローティング・リバー」を体験してみるのもいい。自然の中で川の流れに身をゆだねていると、人生観が変わってしまう。

キッティラからは約1時間のフライトで、ヘルシンキ空港に到着した。「あと2日か3日、オーロラハンティングの時間が欲しかった」と後ろ髪を引かれる思いもあったが、旅の最後にはもうひとつ楽しみが残っている。ヘルシンキから成田へ帰るフィンエアー便は夕方の出発で、離陸して間もなく夜になる。進行方向左側の席(A席)を確保すれば、機窓からオーロラに出会えるチャンスがあるのだ。

離陸して3時間。ゆっくりワインと食事を楽しんだあと、私は窓のシェードを上げて暗闇に目を凝らした。

text:Shunji Akimoto

photograph:Shunji Akimoto,Eika Akasaki,Kiyofumi Kuratani