それで言うと、東京駅丸の内駅舎にある「東京ステーションホテル」はお薦めだ。同ホテルの朝食は宿泊客限定のものだが、「あの朝食を食べるために、東京ステーションホテルに泊まりたい」というゲストも数多くいるという。そこで、連載「仕事力が上がる! ホテル活用術」第3回は東京ステーションホテルの知る人ぞ知る朝食の魅力に迫りたい。

丸の内駅舎内の“特別な空間”で食事する贅沢

東京駅と共に100年以上の歴史を刻んできた「東京ステーションホテル」。その魅力の一つが、重要文化財に指定されている東京駅丸の内駅舎の中にあることだ。現在の姿は2007年から約5年間の保存・復原工事を経たものだが、“使い続ける文化遺産”を象徴するかのように館内のあちこちには創建当時の赤レンガ壁がそのまま残っていて、往時を偲ばせる。

その中で、ぜひ一度は足を踏み入れてほしいのが、中央最上階(4階)に位置する「アトリウム」。駅舎のいわゆる屋根裏にあたり、前述の改装工事の後から利用されるようになった空間だ。戦争で焼失していた駅舎の一部を復原してホテルエリアが広がった結果、58室だった客室数が150室に増えたため、朝食場所を確保する目的で生まれ変わったのである。

「アトリウム」の壁には100年以上前の赤レンガがそのまま残されている
個室も完備(※予約可能)。スクリーンも備え付けられているので、朝食ミーティングにも使い勝手がいい

なんと全110種類! 料理長渾身の“究極ブッフェ”

さて、肝心な朝食の内容だが、これが並々ならぬ充実ぶりである。「最初は70種類程度でしたが、お客様にいろいろ召し上がっていただきたいという想いが高じていつのまにか増えてしまいました」と語るのは、同ホテルの石原雅弘総料理長。その言葉どおり、朝食会場である「アトリウム」の両サイドには和食と洋食のアイテムが所狭しと並ぶこと110種類!

朝食はブッフェ形式。「なるべくたくさんの種類を試していただけるように」(石原総料理長)とそれぞれのサイズを小さめにしている

ここまで種類が豊富だと、ひとつひとつに手をかけてられないのではないかと疑いたくなるだろうが、心配は無用。例えば卵料理は熟練のシェフたちが作りたてを提供。オムレツは同ホテル伝統のビーフシチューソースなど3種類から選べるし、半熟卵を使うエッグベネディクトも目の前で見事に調理してくれる。

クロックムッシュにエッグベネディクトをのせた人気の卵料理

このほかにも石川県の契約農場から届く有機野菜のサラダバー、魚介のマリネ、切りたてのハムやベーコン、チーズと多彩な食材がそろう。有料にはなるが生ビール(1杯800円)もあるので、仕事がなければ“朝ビール”という贅沢を楽しむことも可能だ。また、和食コーナーには焼き魚や煮物はもちろん、全国の選りすぐりの生産者から取り寄せたごはんのおともが充実している。ごはんについては、「常に温かい炊き立てを食べてほしい」(石原総料理長)とのことから、大釜ではなく、小さな炊飯器をいくつも用意して、厨房で随時炊き続けているそう。醤油や塩なども複数種類揃えていることからも、同ホテルの“おもてなし精神”が感じられるはずだ。

「冷やしおでん」「ちらし寿司」など、ホテルの朝食ブッフェではあまり見かけないメニューもある

いかがだろう。「東京ステーションホテル」で過ごす朝がいかに満ち足りたものになるか想像していただけただろうか。昨今、“朝活”という言葉が一般化しているが、豊かな朝を過ごすことがいかに大切であるかを、この東京ステーションホテルの真心のこもった朝食は示唆してくれるはず。チェックアウト後の足取りは昨日よりずっと軽くなり、清清しい気持ちで一日をスタートさせられるに違いない。

問い合わせ情報

東京ステーションホテル
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
TEL:03-5220-1111

東京ステーションホテルの一押し手土産

TORAYA TOKYO限定パッケージの小形羊羹5本入り(1404円/税込)
手土産が必要であれば、同ホテル2階にある「TORAYA TOKYO」を覚えておくといい。老舗和菓子店「とらや」初のコンセプトショップで、ここでしか買えないオリジナルアイテムが見つかる。一押しは、パリ在住の画家、P.ワイズベッカー氏が描く東京駅丸の内駅舎の絵をパッケージにした同店限定の「小形羊羹5本入り(夜の梅)」。日持ちは製造から1年間。取引先へ、あるいは家族に贈れば、その珍しさに喜ばれることうけあいだ。

▼問い合わせ先
東京ステーションホテル内「TORAYA TOKYO」
TEL:03-5220-2345
営業時間:10時~21時(日祝10時~20時) ※祝前日は21時まで

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