BMWやフェラーリは新型モデルを披露
古いクルマに興味あるひとはどのくらいいるだろうか。自分が憧れたクルマにいちどは乗ってみたいと思うひとは少なからずいるだろう。欧米ではとりわけ古いクルマ趣味が大事にされており、ヒストリックカーのイベントは重要な社交の場となっている。
米国で最も有名なのは毎年8月に西海岸で開かれる「モンタレーカーウィークおよびコンコース・デレガンス」だ。2018年は8月21日から26日にかけて、サンフランシスコとロサンジェルスの間にあるモンタレーを中心に、古いクルマのイベントの数かずが開かれた。
愛好者が駐車場の一角で開くスワップミート(部品や中古車の展示即売会)から、大はレース場で歴史的な“名車”が走るものまで。なかでも人気がとりわけ高いのはゴルフで有名なペブルビーチの芝生の上で展開される「コンコース・デレガンス」だ。
2018年は8月26日に開催されたこのコンコース(コンクール)での目玉は、超がつくほど稀少なヒストリックカーと、メーカー各社がこのショーのために持ちこんだコンセプトモデルだ。新旧のレアなクルマが来場者を惹きつけていた。
ペブルビーチのコンコースは芝生の上に出展車が並べられる。そこを審査員たちが回り、オーナーと話をしたりエンジンをかけてもらったりして状態をチェックし、最終的にグランプリを選ぶスタイルだ。夜明けに各車が自走して会場に入るのを観るのも来場者の楽しみだ。それを「ドーン・パトロール」と呼ぶ。
博物館の展示と違うのは、このように走っている姿を観られること。8月7日掲載「ニュースなクルマ」で紹介した英国グッドウッドの「フェスティバル・オブ・スピード」も歴史的名車の自走が観られることで人気だが、ペブルビーチはレースカーに限らず、もうすこし幅が広い。年代的にも古いクルマが多く参加する。
もうひとつ、ぼくがここで紹介したいのは、コンセプトモデルを含めた新車の数かずだ。たとえばインフィニティは「プロトタイプ10」を持ちこんだ。スタイルは50年代の英国のレーシングカーを思わせるがパワートレインは電気である。
BMWは新型「Z4ロードスター」をお披露目した。3リッター直列6気筒エンジンを搭載した「Z4 M40i」というモデルで、大型の変型キドニーグリルと、ドアのところに大きな切り欠きを入れたドリフター(エンジンルームとタイヤハウスからの空気抜き)が目を惹く。
フェラーリは「488ピスタ・スパイダー」をデビューさせた。フェラーリにとって50台目のオープンモデルだそうだ。最高出力720馬力に最大トルク770Nm。強力な3902ccV8ツインターボエンジンをミドシップし、同時に大幅な軽量化がはかられているのが特徴である。
個人的に興味を惹かれたのはロサンジェルスのシンガー・ビークルデザインによる、1990年の911(964型)をベースにした「DLS」だ。ここは空冷エンジンの911をベースに、“こうだったら最高だろうな”というコンセプトでチューニングを施す会社で、注目を集めている。