ベントレー最高のGTを作れ
伝統と革新。この言葉は相反内容をさすが、対になって使われることが多い。バランスがとれているものを探すとしたら、ベントレーのクーペ、新型「コンチネンタルGT」がぴったりかもしれない。
ベントレーはスポーティなセダンやクーペで知られる英国のメーカーで、創業は1919年と歴史は古い。途中何度かオーナー企業は変わってきたが、現在は落ち着き、本来ベントレーの持ち味である、最高のGTを作るという目的をもって邁進している。
その象徴ともいえるのが、3代目になるコンチネンタルGTだ。このクルマのよさはスポーティなクーペとして、エレガンスとパワフルさをともに持つことだ。つまりスタイリッシュで、贅沢で、かつ速い。なかなか類のないカテゴリーである。
新型に乗ってみて、そんな希有な価値がより高まったことがわかった。より高まったという言い方では少々なまやさしいかもしれない。いい方向へものすごい勢いで進化したのだ。
コンチネンタルGTは6リッター12気筒エンジンに全輪駆動システムを組み合わせた2プラス2の2ドアクーペだ。全長は4880ミリ、全幅は1965ミリとサイズも余裕がある。
ぼくは初代が2003年に発表されたとき、こんなにデザインがすぐれていて、かつ作りにコストがかかったクルマはほかにあるだろうか、といたく感心したのをおぼえている。
新型はぼくをとりこにした、大きなボンネットとぐっと外に張り出したようなリアフェンダーによる力強い造形と、メッシュグリルに大型の4灯式ヘッドランプは引き継ぎつつ、それをよりスポーティな方向へと改良している。ここが大きな魅力だ。
加えて駆動システムは従来の前40と後ろ60という割合のトルク配分でなく、基本的に後輪駆動となった。ある条件下では走行を安定させるために前輪にもトルクがいくが、それでも最大30パーセントだという。
ギアボックスもふつうのオートマチック変速機のトルクコンバーター式でなく、ツインクラッチ8段が採用された。ベントレーによると、これでシフトがより速くなり、かつ燃費も改善したそうだ。