マシュマロの進化形
文京区本郷にある「アヴランシュ・ゲネー」は、フランス・ノルマンディ地方で修行を積んだ上霜考二シェフが2015年に開いたパティスリーだ。開店当初から、主役のケーキと人気を二分しているのが、カラフルなキューブ型の「ギモーヴ」である。
スイーツ好きでない限り、「ギモーヴ」という菓子名には馴染みがないと思うので、まずは説明を。ギモーヴとはフランス語名であり、英語名ではマシュマロのこと。数年前から、フランスで修行したパティシエたちが「ギモーヴ」の名で売るようになり、洋菓子業界でその呼び名が流行るようになった。たんに呼び方が違うだけなのだが、ギモーヴの名で売られているものは、昔ながらのマシュマロとは明らかに味が違う。上霜シェフにその違いを教わった。
「マシュマロといえば、卵白を泡立てたメレンゲとゼラチンを主原料にして、香料で香りづけするものが一般的でした。今、ギモーヴの名で売られているものの多くはメレンゲを使わずに、果物のピューレをゼラチンでやんわりと固めたもの。味わいは従来のマシュマロとは似て非なるものです」。
マシュマロの進化版ともいえるギモーヴ。その醍醐味は2つある。ひとつめは、しゅわしゅわっとした口溶けのよさ。ムースにも似た軽やかな口溶け感なのだが、そのようなエアリーな菓子は上霜シェフの最も得意とするところ。ほかとは一線を画す、淡雪のような口溶け感が楽しめる。
サプライズ感ある宝石箱のような美しさ
ふたつめの醍醐味は果実味。
上質な果物のピューレをたっぷり使ったアヴランシュ・ゲネーのギモーヴは、口に入れた瞬間しゅわしゅわっと溶けて泡になったかと思うと、果汁が一気に広がるジューシーさが真骨頂。しかも、「必ず2つ以上の味を組み合わせる」という上霜シェフならではの趣向を凝らした重層的な味わい揃い。
カシスにダージリンの茶葉を混ぜた優雅な風味の一粒に、ライムとパセリを合わせた爽快な香りの一粒。パッションフルーツ味のギモーヴにココナツをまぶした南国を思わせる逸品もあれば、カボスといちご味を二層にした甘酸っぱい新作もある。
さまざまなサイズを目的に合わせて
そんな至福の味数種を上質な黒い箱に25粒詰めたギフトボックスは、かしこまった席の手土産としても使える。蓋を開けた瞬間、目に飛び込む華やかさには誰もが心動かされるだろう。クリアケース入りの9個、18個入りもある。こちらはちょっとしたお礼の品にも最適だ。シーズンは少し先になるが、ホワイトデーの贈り物用に購入するビジネスマンも多いという。
最後に上霜シェフからこんなひと言を聞いた。
「食前にシャンパンとギモーヴを合わせて召し上がるお洒落な方もいらっしゃいます」
しゅわっと口溶けする果実味溢れるスイーツは、確かにスパークリングワインと相性抜群だ。
ワイン好きの女性へ差し上げたら確実に喜ばれる。
【店主から一言】
「果物のピューレをたっぷり使い、果汁感を味わっていただけるよう仕上げています。ぜひ、楽しんでください」(ギモーヴを担当するパティシエ 河野綾さん)
問い合わせ情報
「アヴランシュ・ゲネー」
東京都文京区本郷4-17-6 1F
TEL:03-6883-6619
商品:ギモーヴ
価格:1個93円~。9個入り1000円、18個入り2000円、25個入り3000円(すべて税別)
販売:1個から
日持ち:1週間
営業:10時~19時 月曜、火曜休み(祝日の場合は営業)
text:Yoko Yasui
photograph:Hiroshi Okayama