使い勝手がよくスタイリッシュ

フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンは2018年8月29日に「フォルクスワーゲン・ティグアンTDI 4モーション」の日本発売を開始した。全長4500ミリのボディにターボディーゼルエンジンを搭載しており、乗るとよく走るモデルである。

ティグワンは比較的コンパクトなサイズで、日本でも使い勝手がよい。加えてスタイリッシュでもある。実際、フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンでは「都会派」としている。キャラクターラインが明確に入ったボディといい、多くの交通のなかでも目立つモデルである。

4MOTIONはふだんは前輪駆動だが、さまざまなパラメターから瞬時に後輪へとトルクを配分する

従来は1.4リッターガソリンエンジン搭載の前輪駆動「TSI 1.4」が日本に導入されていた。そこに加わったのが2リッターターボディーゼル車だ。ハルデックスの4WDシステムも搭載しており、スノースポーツを趣味にするひとなど、早くも注目しているとも聞く。

走りはなかなかよい。110kW(150ps)の最高出力と340Nmの最大トルクを発生する2リッターディーゼルターボエンジンは、このボディに充分すぎるパワーを持つ。出足は鋭く、ターボチャージャーが働いても自然なフィールの加速感は気持ちよい。

足まわりもよくしつけられていて、ゴツゴツしたところはほぼ感じられない。落ち着いていて、質感が高い。同じフォルクスワーゲンのハッチバック「ゴルフ」の美点がいい方向に拡張されているかんじがある。いっぽうでハンドリングのよさは光っている。

ステアリングホイールは軽めの設定だけれど(それがいいというひともいるだろうが)、切りはじめから応答性はよい。軽薄なかんじはない。応答性のよさは重要な点で、ドライバーの思いどおりにクルマが動くため取り回しはいいのだ。街中での使い勝手は応答性のよさによるところが大きい。

4MOTIONアクティブコントロールは悪路用のドライブモード切り換えスイッチ

ワインディングロードでは期待以上の楽しい走りが味わえた。足まわりはしっかり踏ん張り、ロールは抑えめだ。エンジンは1750rpmというほぼアイドリングの上から最大トルクを発生しはじめるため、上りだろうと下りだろうと、息切れなく、すいすいとカーブをこなしていく。

このときのフィールもしっかりしていて、私には同じフォルクスワーゲンのハッチバック「ゴルフ」よりさらに好ましく感じられた。スペース効率のよさが特長なのだが、じつは走りも楽しい。つまり家族のために買っても、運転も楽しめるということで、よいコンビネーションである。

計器はTFT液晶で、さらにインフォテイメント用液晶モニターは「ハイライン」と「Rライン」に装備される

いっぽう、オフロードでは乗り心地はいまひとつだ。トルクやトラクションコントロールの設定が変わる「4MOTIONアクティブコントロールスイッチ」で「スノーモード」や「オフロードモード」などが選べるようになっているだけに、オフロード走行が念頭にあるのだろう。サスペンションアームのトラベル(動く距離)がもう少し長いともっと快適でいられるはずだ。

「ハイライン」にオプションで用意される「レザーパッケージ」装備車

車内はスペース効率がよく、ひとことでいって広々としている。前席も居心地がいいし、後席はレッグルームもヘッドルームも充分以上だ。伸び伸びした気分でいられる。

後席はヘッドルームもレッグルームもたっぷりある

荷室は615リッターと大容量で、趣味を持つひとにとってはここも大きなアピールポイントだろう。キャビンの大きさが視覚上の特徴だが、スタイル上のバランスはよく、見方によってはスポーティといってもいい。

ティグアンTDI 4MOTIONは全長4500ミリ、全幅1840ミリ、全高1675ミリで背が高い

グレードは3種類だ。「コンフォートライン」(408万6000円)をはじめ、「ハイライン」(494万円)、そして「Rライン」(524万円)である。コンフォートラインでは安全運転支援システムの一部や、コネクティビティや、LEDヘッドライトが標準でなくオプションとなる。

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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