丸の内のOLを虜にしているリッチな焼き菓子～カドー

「カドー」とは、フランス語で「贈り物」。店名のとおり贈り物に特化したパティスリーが丸の内にオープンしたのは今年1月。開店当初から美食家たちにおいしいと評判だったのが、看板商品のビスケット「ショート ガレット」だ。

「ショート ガレットとは、私どもで考案した造語です。イギリスの伝統菓子“ショートブレッド”と、フランスはブルターニュの郷土菓子“ガレット・ブルトンヌ”をかけ合わせました。双方のいいとこ取りをした、新しい食感の焼き菓子です」

店長の來栖涼子さんが、やわらかな笑顔でそう教えてくれた。

ショート ガレットは確かに、ホロホロした食感のショートブレッドのようでもあり、しっとりザクザクした噛み心地のガレット・ブルトンヌのようでもある。発酵バターをたっぷり使った生地にフランス産“ゲランドの塩”をひそませた、どこまでもリッチな味わいだ。風味豊かなバターの余韻に酔えるこのショート ガレットには、紅茶がとてもよく合う。

じつは、この場所には以前、カドーの前身となる紅茶専門店「ベッジュマン＆バートン」があった。パリの5つ星ホテルでも採用されている紅茶ブランドの日本直営店だ。ベッジュマン＆バートンからカドーへ。その変遷を、紅茶専門店時代からのスタッフである來栖さんはこう話す。

「紅茶専門店時代、フレーバードティーを飲みに来て下さったお客様に出していたオリジナルの焼き菓子がとても好評でした。丸の内という場所柄、もともと社用やご贈答用に紅茶を買われるお客様も多くいらして。そこで、人気の焼き菓子に改良を重ねたショート ガレットをメインに掲げ、贈り物に特化した店を立ち上げたのです」

公式ホームページもなければ基本的には通信販売もしていない。けれども、紅茶専門店時代からの常連だった美食家たちをはじめ、おいしい物好きの間で口コミによって広がり、知る人ぞ知る店となった。

ショート ガレットの定番フレーバーは4種類。プレーンのクラシック、ほんのりほろ苦いカカオ、香り高いローズ、爽やかなレモン。もう1種、フランス産高級バターブランド“ボルディエ”の海藻バターを使ったシーウィードが期間限定（12～3月、5～8月）で販売される。

それぞれ4枚入りの小箱がある。蔦模様を施した王冠のロゴをあしらったキュートな小箱にひと箱ずつリボンをかけてくれるので、ちょっとしたプレゼントにもいい。「小箱を100個単位で買われるビジネスマンの方もいらっしゃいます。異動の挨拶時にお配りになったり、いつもがんばっている部下の女性たちへの贈り物にしたり、というようなご用途でお買い求めいただいています」と來栖さん。

マットな金色の缶に20枚入ったギフトボックスは、その洗練されたデザインもさることながら、絶妙な重量感に品を感じる。聞けば、「重すぎては持ち歩きに不向きです。逆に軽すぎては高級感に欠けてしまいます。お使い物にふさわしい適度な重量感になるよう考え抜きました」とか。ギフト専門店ならではの心にくい計算だ。

ベッジュマン&バートンのエレガントな紅茶の茶葉、さらに、紅茶のようにフルーティなコーヒーのドリップバッグも販売。相手の好みに合わせて飲み物を一緒に差し上げれば、とびきりセンスのいい手土産になるはずだ。