スペシャリテは黒トリュフ入り
仕事運が上がるパワースポットとして知られ、ビジネスマンの参拝客も多い赤坂の日枝神社。そのお膝元にある「リベルターブル」は、ジュエリーショップと見紛うほどに洗練された空間のパティスリーだ。
宝石のように美しい生ケーキとともに人気を博しているのが、「パウンドケイク」。一般的にパウンドケーキと呼ばれるフランスの伝統的な焼き菓子は素朴な味だが、リベルターブルの「パウンドケイク」に素朴という言葉はほど遠い。とにかく贅沢な味わいなのだ。
全部で4種類あるパウンドケイクのなかでも、「ケイク トリュフ ノワール カルヴァドス」は、世界三大珍味のひとつといわれる黒トリュフをふんだんに織り込んだスペシャリテ。どんな発想でトリュフを? 森田一頼シェフにたずねるとこんな答えが返ってきた。
「パウンドケイクの生地には卵が欠かせません。トリュフは卵と相性がよく、フランスのクラシックなメニューには、トリュフと卵を合わせた料理が多くあります。そこから閃きました」
既成概念にとらわれない自由な発想
このアイテムに限らず、森田シェフが生み出すケーキには、料理の素材をしのばせた独創的なものが多くみられる。ポルチーニ茸、フォアグラ、ハーブに蕗の薹……。奇をてらう気持ちは微塵もなく、「料理とお菓子の素材に線引きがない」だけなのだとか。
過去にはフランス菓子の伝統的な技術をつかむために渡仏し、菓子店だけでなく、名だたるレストランのパティシエとしても働いた。肉を焼き、サラダをつくる料理人たちと現場をともにしながら、本来なら菓子とは無縁の食材使いや調理法も身につけた。さまざまな経験を積んだおかげで、「基本をどれだけ崩しても大丈夫か把握できた」とシェフは断言。だからこそ既成概念にとらわれず、自由な発想と感性を菓子に落とし込めるのだろう。
そんなシェフが編み出した黒トリュフ入りのパウンドケイクは、芳醇な香気に満ちていて、香りの余韻がゆるゆると続く。りんごでつくる蒸留酒・カルヴァドスが染み込んだしっとりした食感も色気があり、夢見心地で味わえる。シャンパンやブランデーとの相性もいいので、酒好きも喜ぶ逸品だ。
芸術的な味わいのラインアップ
黒トリュフ入り以外のラインアップはこちら。
イチゴとローズのコンフィチュールを生地に練り込んだ「ケイク フレーズ ア ラ ローズ」は、バラ色が映える1本。「封をあけた瞬間にローズリキュールの華やかな香りが広がります」という、シェフのお気に入りだ。「ケイク アプリコ ピスターシュ」は、ピスタチオのコクとアプリコットの鮮烈な甘酸っぱさが凝縮。焼き菓子に目がない女性好みの、粉の風味も生きたおいしさである。「ケイク ショコラ オランジェ」は、オレンジピールとヘーゼルナッツを混ぜ込んだケイクで、カカオの香りが豊かに広がる味わい。幅広い層に人気があるという。
1本入りのほか、2本、3本詰めの箱があり、好みの味を組み合わせることができる。高級感漂う黒い箱はシックで落ち着きがあり、品格ある方への贈り物にしても恰好がつくだろう。
赤坂本店のほか、松屋銀座地下1階、渋谷ヒカリエ地下2階にも店舗があり買い求めやすいのも嬉しい。パーティシーズンの手土産にぜひ。
【店主から一言】
問い合わせ情報
「リベルターブル」
東京都港区赤坂2-6-24
TEL:03-3583-1139
商品:パウンドケイク
価格:「ケイク トリュフ ノワール カルヴァドス」2592円、「ケイク フレーズ ア ラ ローズ」2376円、「ケイク アプリコ ピスターシュ」1998円、「ケイク ショコラ オランジェ」2160円、(すべて税込。箱代込み)
販売:1本から
日持ち:2週間
営業:11時~21時 不定休
text:Yoko Yasui
photograph:Hiroshi Okayama