行きつけの店は決まっています

東京にいるのは月に半分くらいですね。海外を含め、地方のホテルやレストランなどのプロデュースを十数カ所やっていますから。結果を出さないといけないので、自分の店にいるときよりも神経を使います。たいへんですけど、楽しいですし、逆にこっちが新しい発見をすることもあります。

トークショーや試食会など、イベントでも地方に行きますが、仕事が終わった夜10時頃から食事がセッティングされている。それがたいてい高級な店なんです。僕はお酒がまったく飲めないから、仕事の後に2時間の食事ってかなりキツイ。だから最初に伝えておくんです。餃子やおでんやラーメンとかにしてくれって(笑)。

プライベートで食事に行くときは、中華か和食系が多いですね。行きつけの店は決まっていて、「焼き鳥ならここ、鮨ならここ」って同じところにずっと通います。美味しいと思ったらあんまり浮気はしません。

焼き鳥なら原宿の「鳥久」。もう6~7年通っています。千葉の若鶏を使っているんですが、鶏の新鮮さが違う。好きなのは、ちぎも(レバー)、手羽先、つくね。8~10串くらい食べて、裏メニューのラーメンで締める。鶏の出汁でスープを作っているので、さっぱりしていて香りもいい。そこに細い麺とシンプルにネギと海苔がのっている。旨いんですよねぇ。

食事に女性がいると華やかで美味しい

「鮨処 くどう」はお客さんに連れていってもらったのが最初です。鮨はそこしか行きません。一番気に入っているのは、シャリが生温かいところ。僕はヒカリ物が好きなので、まずは青魚をあるだけの種類握ってもらいます。あとは自分が食べたいものを。シャリが温かいうちに食べたいというのもあって、握るのが速いか、食べるのが速いかっていうくらい、食べるのが速い。ついつい食べすぎちゃいますね。

食事に行くときは、一人では行かないし、絶対に男同士でも行きません。必ず女性と一緒です。食事をする場は、女性がいたほうが華やかだし、楽しいですから。それも美味しさの一つだと思うんです。

今76歳。和太鼓やゴルフ、自転車を趣味でやっています。あと10年元気をキープするには、日々運動していないとダメだと思って。年を重ねたからといって、グターッとした姿は見せたくない。再来年までには、妻への恩返しとして飛鳥IIで、2カ月ほどクルーズしたいと思っています。そのためにも元気でいないとね。

坂井宏行/Hiroyuki Sakai
フランス料理店「ラ・ロシェル」店主
1942年、鹿児島県生まれ。17歳でフランス料理の修業を始め、80年「ラ・ロシェル」をオープン。以来、日本のフランス料理の第一人者として活躍を続け、2005年にはフランス共和国より農事功労章「シュヴァリエ勲章」を受勲。懐石料理を取り入れた盛り付け、色使いの美しい料理が持ち味。

鳥久

“強火の近火”で一気に焼き上げた、入魂の焼き鳥に思わず悶絶
コの字形のカウンターのみ。備長炭で焼かれる串は1本400円~。おまかせ8串3000円。串は野菜を含めて24種類。通常「強火の遠火」といわれる炭火焼きだが、こちらは「強火の近火」。一気に焼き上げて水分を中に封じ込める。
住所:東京都渋谷区神宮前3‐27‐17
電話:03‐5474‐0301
営業時間:18時~23時 日祝休
席数:カウンター20席 カード可 喫煙可

鮨処 くどう
バフンウニ、対馬のあなご……天然物にこだわった究極の鮨

魚は天然物、シャリは栃尾産のコシヒカリと江戸前の赤酢と米酢をブレンドした合わせ酢を使用。おまかせコース1万5000円~。
住所:東京都港区南青山2‐11‐15 セピア絵画館2F
電話:03‐3404‐4771
営業時間:月~金 11時30分~14時、18時~22時30分(LO)土 17時~21時30分(LO)日祝休
席数:カウンター14席、6席の個室1の計20席 カード可 禁煙
公式サイト

text:Misako Nasukawa
photograph:Yuta Fukizuka
from:PRESIDENT2018.6.4