日本で唯一。一子相伝の金平糖専門店

金平糖は、戦国時代にポルトガルから伝来したといわれる砂糖菓子だ。昔懐かしい、どちらかといえば地味な駄菓子……。そんなイメージがつきまとうが、京都に本店を構える「緑寿庵清水」の金平糖は“すごい”と思わずにはいられない逸品である。

創業は1847年。レシピのない金平糖づくりの技を一子相伝で守り続け、日本で唯一、製造と販売をする専門店というだけあって、まずもって技がすごい。

「金平糖は簡単にできるものと思われている方もいらっしゃいますが、じつはお菓子作りの中でも極めて難しく、熟練の技を要します」。ビジネスディレクターの猪飼晨さんはそう言って、つくり方を説明してくれた。

核となるのは、主に“イラ粉”と呼ばれる直径0.5mmのもち粉。これを回転している大きな釜に入れて、砂糖を溶かした蜜を少しずつかけていき、コテでかき混ぜる作業を繰り返す。単純な工程のように聞こえるが、きれいな星形に仕上げるのは至難の業。熟練の職人が五感を研ぎ澄ませながら金平糖と向き合い、直径1cmほどの大きさに育てあげるまでに2週間以上もかかるという。

そもそも、砂糖に熱をかけて固めることじたい難しい技術であるうえ、天候や気温などの条件で固まる具合は日々異なる。

「釜を転がる金平糖の音を聞き分けながら、砂糖だけの金平糖がつくれるようになるまでにも、“蜜かけ10年、コテ入れ10年”といわれ、20年もの歳月を要します」

今はまだ小学生の6代目が、すでに音を聞き分ける訓練をしているというから、気の遠くなるような話だ。そのように伝統を守り続けながらも新しいことに挑むべく、2017年12月に初の直営店を出店。「時代のニーズに合う、伝統と革新を融合させた本物の金平糖を皆さまに知っていただきたく、文化の中心地である銀座に出店しました」と猪飼さん。

透明感がありつつも鮮やかな色。見た目からして大人のための金平糖だ

金平糖は、なめずに噛むのが正解!

「銀座 緑寿庵清水」で販売されている金平糖の特徴は、味のバリエーションがすごいこと。果物や茶、ナッツなどの素材を加えた商品が数多くあるのだ。ありきたりと思われるかもしれないが、「じつは、菓子界の常識で考えると普通のことではないのです」と、猪飼さんは言う。

「菓子づくりの世界では、酸や油分を含む素材を砂糖に合わせると結晶しないといわれています。しかし、従来の砂糖のみを結晶させた金平糖だけではなく、時代に合わせたものをつくろうと4代目が一念発起。試行錯誤を繰り返し、素材を加えた金平糖を編み出すことに成功したのです」

現当主の5代目はさらに上を目指し、さまざまな味づくりに挑戦して、現在85種以上の味を実現。銀座店には、ドライフルーツを核にしたジューシーな「いよかん果実糖」、炭酸のシュワッと弾ける爽快感をも表現した「銀座ソーダの金平糖」、コクのあるナッツを核にしたクリーミーな「ピスタチオの金平糖」など、進化した金平糖がずらりと並ぶ。

「当店の金平糖は、蜜が何百層にも重なって出来ています。ですから、噛むことでほろりと崩れ、素材の味が一気に広がります」

なめずに噛む。そのとおりにすると弾けるように香りが広がり、軽い衝撃を受ける。素材の風味の再現性が高く、すっきりとした後味も印象的だ。

プチギフトから特別な贈り物まで

モダンな和テイストのパッケージは見栄えよく、さりげないタイプから、豪華なものまでそろっている。

「銀座ソーダの金平糖」はじめ、通年販売しているオリジナルシリーズは手の平サイズの紙箱入りでプチギフトに最適だ。特別なとき、あるいは目上の方への贈り物にするなら、「紹興酒金平糖」がおすすめ。紹興酒の名ブランド“古越龍山”の25年ものを使った芳醇な奥深い味の逸品がガラスボトルに詰められている。

金平糖は、高温の釜で水分を蒸発させながら結晶したもの。水分を含まないため、真夏でも金平糖どうしがくっついたり溶けたりすることがないそうだ。賞味期間も長いため、海外の方への手土産として購入するビジネスマンも多いという。

贈るシーンに合わせて選べる「銀座 緑寿庵清水」の金平糖、知っておいて損はない。

素敵な包装紙の金平糖詰め合わせなら贈答品にも
芳醇な香りでまろやかな深みのある味。ガラスボトル入りの「紹興酒金平糖」6800円

【店の方から一言】

「金平糖は、職人が何日もかけて根気よく育てあげるもの。その様子が家庭を築いていく様子に似ているため、古くから引き菓子とされてきました。ほかにも、出産祝いやおめでたい菓子として、さまざまなお祝い事に使われています」(猪飼ビジネスディレクター)

問い合わせ情報

問い合わせ情報

「緑寿庵清水 銀座店」
東京都中央区銀座6‐2‐1
TEL:03‐5537‐9111
商品:金平糖
価格:1000円~
販売:1箱から
日持ち:「いよかん果実糖」は常温で3カ月。ほかは1年。
営業:11時~19時30分、土曜・日曜・祝日は11時~18時30分 月曜休み(祝日の場合は翌火曜が休み)


text:Yoko Yasui
photograph:Hiroshi Okayama