新型GRスープラへの豊田章男社長の熱い思い

TOYOTA(トヨタ)が話題のGRスープラを発表した。2019年1月14日に幕開けした米デトロイトでの北米国際自動車ショー2019(NAIAS 2019)がその舞台だ。デトロイトの北米国際自動車ショーは、初回は1899年にさかのぼる伝統あるもの。歴史の長さは、自動車産業が集まる街だけのことはある。

GRスープラ発表会の場で(2018年ルマン24時間優勝チームの)フェルディナント・アロンソ選手と握手するトヨタの豊田章男社長

「新型GRスープラは、(テストコースの)ニュルブルクリンクで鍛えられ、生まれたクルマです。走る楽しさ以上の経験を提供できるクルマになったと、自信を持ってお伝えします」

デトロイトのお披露目の場に姿を現した豊田章男社長は上記の談話を発表している。

新しいスープラでレースに出るのが豊田社長の夢というのはよく知られた話で、先立つ1月11日開催の「東京オートサロン2019」で同車をベースにGT選手権用レースカー、GRスープラ スーパーGTコンセプトを発表したのだった。

GRスープラは2リッター4気筒と3リッター6気筒をフロントに搭載する後輪駆動の2人乗り。共同開発したBMWのZ4がオープンボディであるのに対して、トヨタ版は(レースを視野に入れているので)クーペとなっている。

2019年のショーには、ほかにレクサスインターナショナルがレクサスLCコンバーチブルコンセプトを持ちこんだ。エレガントで、かつスポーティな走りを持つLCをフルオープン化したモデルで、量産されたら米西海岸などで人気を博しそうだ。

レクサスLCをベースにしたコンバーチブルのコンセプトモデル

日産は「将来のセダンの方向性を指し示す」(広報)と言う4ドアクーペのようなスタイリッシュなデザインのIMsと、インフィニティからSUVのQXインスピレーションを発表した。どちらも現段階では試作である。

日産自動車は未来のEVセダンのコンセプト、IMsを展示した
インフィニティは2018年のセダンのコンセプトモデル、Qインスピレーションに続き、SUVのコンセプト、QXインスピレーションをお披露目

SUVも多かった。米国のブランドでは、キャデラックが大型のクロスオーバー、XT6を発表し、フォードはフルモデルチェンジしたエクスプローラーで話題を呼んだ。いっぽう、EV化へのアプローチもやはり重要で、たとえばゼネラルモーターズは、キャデラック・ブランドをまず使ってEV計画を進めていくと発表している。

北米で強いスバルはスポーティイメージも濃く、このショーでは、STIと組んで開発したパワフルなWRX STI 209Sを発表
キャデラックの新型SUV、XT6は気筒休止システムを組み込んだ3.6リッターV6エンジンを、3列シートの大型ボディに搭載
北米でよく売れているフォードのSUV、エクスプローラーは新型になり後輪駆動主体のシャシーに変更され、エンジンもパワフルになり、ハイブリッドも用意される

例年1月のはじめに開催されてきたデトロイトでの北米国際自動車ショーだが、直近にラスベガスで開催される先進技術の見本市CESや、11月終わりに豪華なクルマが揃うロサンジェルス自動車ショーがあり、存在感が薄れてきているという事実もある。

2020年から、対策として、開催日をずらすことが発表された。伝統の1月でなく、6月8日からになるそうだ。この発表は驚きもあったが、同時に、現実的な解決案として妥当なようにも思える。

高い入場料で限られたひとだけを入れるチャリティナイトは、売り上げは寄付に回す美しい伝統だ

小川 フミオ/Fumio Ogawa
慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。