ビジネスエリートたるもの、車内で無言の駅弁勝負に挑む!

東京から地方に向かう時に、私は必ず駅弁を購入して勝負をしている。そう、“駅弁勝負”である。隣席のビジネスマンが駅弁の包みを解いたら開始の合図である。私もおもむろに駅弁を取り出し、彼我の駅弁を見比べるのである。つまり近くに座っている見ず知らずの人と、どっちの駅弁がより優れているのか、勝手に勝負をするのだ。ただし、2000円以上の豪華弁当や高級料理屋の弁当で勝っても意味がないので、私は必ず東京駅で入手できる1500円以内の弁当で勝負することにしている。留意点は三つ。


1.今まで購入したことがない駅弁を選ぶ。
2.なるべく地域性のあるの駅弁を選ぶ。
3.勝負に勝てると推測できる駅弁を選ぶ。


さあ、あなたもちょっとした休息の時間を弁当勝負をして出張を楽しんでもらいたい。その心意気があってこそ、仕事にも勝てるというものだ。(談・マッキー牧元 以下同)

▼『江戸日本橋弁当』東京の老舗の味をちょっとずつ楽しめる

江戸日本橋弁当/1200円<販売場所:東京駅構内/エキュート京葉ストリート「膳まい」ほか>

甘辛くこっくりとした味わいの江戸風味が味わえる弁当。鯖の江戸味噌煮は、鯖の脂の甘みと江戸味噌の甘辛さが溶け合う。また江戸風味で炊いた里芋、ごぼう、ハス、人参、タケノコといった野菜陣もいい。ニンベンのおかか、桃屋のごはんですよ入り。少しずつ美味しい一品が味わえるお得な弁当。東京駅限定。

▼『鮭かま塩焼弁当』脂の乗った大きな鮭は圧巻の味わい

鮭かま塩焼弁当/972円<販売場所:東京駅構内/グランスタ「てとて」、品川駅構内/エキュート品川「てとて」>

東京駅構内地下1階グランスタ内『てとて』が販売する魚が主菜となった各弁当は、老舗の魚加工業者である『味の浜藤』が威信をかけて作っているということもあり、どれも魚の質が極めて高い。原価がわかる人なら、これで儲かっているのだろうかと思うほどである。しかも紅鮭の塩焼きのほかにもカレイの照り焼き、西京焼きなど、どれも堂々たる姿で大きく、合成保存料や着色料、化学調味料を使用していない点も素晴らしい。魚が主役の弁当としては、日本一。中でもこれはオススメ。

▼『上野弁当』上野発、茨城を目指して現地の味わいを

上野弁当/1050円<販売場所:上野駅構内/駅弁屋「匠」>

上野駅限定で販売している弁当。上野から常磐線に乗って水戸方面へ向かう。窓に流れる風景を眺めながら土地のものが楽しめる。ご飯も、焼き鮭も、レンコンたまり漬けもいい。くり抜いたごぼうに鳥とインゲンを詰めた「ごぼう将軍」、ピンクの色素がついた衣で揚げられた「魚のすり身の花子丸」、「納豆春巻」など、珍しい料理も入っているから楽しい。午後には売り切れていることもあるので、見つけたならば即購入を!

▼『シウマイ弁当』迷ったらコレで間違いなし! 殿堂入りの名駅弁

シウマイ弁当/860円<販売場所:東京駅、上野駅、エキュート品川駅各売店>

もはや説明不要。横浜、いや日本を代表する名駅弁。シウマイ(シュウマイではない)とご飯の美味しさは、比類がない。その他、たけのこ煮や卵焼き、かまぼこ、鶏唐揚げと盛りだくさんで、しかも安いのも特筆すべき点だ。この弁当に勝てる弁当はなかなかない。無添加の変わりなきシウマイの味を私はこよなく愛す。

※紹介している弁当は季節や時間帯によっては販売していない場合がありますのでご注意ください。

<第2回 地方駅弁編に続く>

マッキー牧元
(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食い蕎麦から割烹、フレンチ、スィーツ、居酒屋まで、幅広いジャンルを網羅するタベアルキスト。「味の手帖」編集顧問。テレビやラジオでも活躍するほか、「料理王国」「食楽」などでも連載多数。

edit : Ryutaro Koizumi(PRESIDENT STYLE)
photograph : Jiro Ohtani