オープン初日は、行列も!
パリ郊外の名ショコラティエ、パスカル・ル・ガック氏は、フランスのチョコレート品評会で7年連続最高位を獲得するほどの実力派。世界中にファンを持ち、名だたるプロからも尊敬されている。
そんなトップショコラティエが今年1月、世界初進出となる店「パスカル・ル・ガック 東京」を赤坂にオープンした。初日、噂を聞きつけたチョコレート愛好家たちが、なんと朝6時半から店の前で開店を待ちわび、最長5時間待ちの列をなしたというからその人気ぶりがうかがえる。
今回紹介するのは、そんな話題店の逸品。フランスから空輸されるひと口サイズの「ボンボンショコラ」だ。ガラスケースには、“カルバドスとシナモン”“トロピカルフルーツとラム酒”のように素材の組み合わせが興味深いショコラもあれば、個性的な素材を直球で使う“ジャマイカ産胡椒”など、魅惑的なアイテムが整然と並ぶ。
誰もがおいしいと感じるボンボンショコラ
パスカル氏ならではのボンボンショコラの特徴とは? 東京店のシェフを努める眞砂翔平さんに尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。
「複雑にせず、素材の味がきちんとわかるショコラに仕上げてあることです」
今、東京には数多のショコラティエがあり、どこのボンボンショコラもおしなべておいしい。けれども、味が複雑すぎてどんな素材が入っているのかわかりにくい、と感じることも少なくない。その点、パスカル・ル・ガックのボンボンショコラは確かに、果物や酒やスパイスの風味がチョコレートの中からくっきりと浮かび上がる。素直においしいと思えるのだ。
「パスカルさんは、誰もがおいしいと感じるものをつくることに長けています。たとえば、チョコレート菓子の素材としては珍しい胡椒を使う場合でも、単に辛さを前面に出して変わった味に仕上げるのではなく、多くの人を惹きつける香りを引き出すことに焦点をあてる。おいしさの基準は人それぞれですが、自分と他人の“おいしい”が重なる部分を見つけることに優れた、すばらしいショコラティエです」。眞砂シェフは師をそう崇める。
ボンボンショコラは1個から購入可。4個、6個、10個、16個詰めの箱があり、20数種から好きなものを選んで詰め合わせてもらえる。ちなみに、眞砂シェフのイチオシは、「グリュエと塩」のプラリネ。「粉砕したカカオのカリカリした食感が心地よく、塩の加減も絶妙。カカオの味がしっかり感じられ、食べ飽きません」という。何を箱に詰めようか悩んだら、ぜひ加えてほしい1粒だ。
東京でつくる焼き菓子も手土産に最適
東京店には、フランスから空輸されるアイテムのほか、赤坂の厨房でつくる商品も並ぶ。
パティシエ界の登竜門といわれるコンクール“トップ・オブ・パティシエ”で優勝するなど、華々しい受賞歴を持つ眞砂シェフが、パスカル氏のレシピをもとにつくったスイーツは確かな味わい揃いだ。
生菓子にタブレット(板チョコ)もいいが、「手土産には焼き菓子も人気です」と眞砂シェフ。ホロホロ、サクサク、カリカリ。さまざまな食感の焼き菓子があり、なかでもザクザクした歯ごたえの“ブルターニュサブレ”は隠れた名品。日本産とベルギー産、2種類の風味豊かな発酵バターを合わせて厚く焼き上げた「バターを味わうためのサブレ」は、眞砂シェフの自信作でもある。
そういうわけで、ボンボンショコラの箱詰めに、もう一品添えてプレゼントするのも手。「評判が高い焼き菓子もぜひ食べていただきたくて」と伝えれば、相手の喜びは倍増するはずだ。スイーツ好きの女性へ贈るならば効果絶大。試してみてはいかがだろう。
【店の方から一言】
問い合わせ情報
「パスカル・ル・ガック 東京」
東京都港区赤坂2‐12‐13
TEL:03‐6230‐9413
商品:ボンボンショコラ
価格:350円~(値段はすべて税別)
販売:1個から
日持ち:30日
営業:10時~20時、土曜・祝日は10時~18時(サロンのラストオーダーは閉店30分前)日曜休み
text:Yoko Yasui
photograph:Hiroshi Okayama