「フュージョンランニング」でランニングの概念が変わる!

人がランニングを始める目的は、「ダイエット」「体力アップ」「ストレス発散」「マラソンに挑戦したい」などさまざまだ。ランニングは、特別な用具も必要なく、1人でも気軽にできるというメリットがある反面、習慣化し、継続することは容易ではない。

ランニングを楽しく、長期にわたって続けるためには、どうすればいいのだろうか? 東京マラソンの仕掛け人・早野忠昭氏に聞いてみると、「いきなり走ろうとしないこと」という答えが返ってきた。

『JAAF RunLink』チーフオフィサー早野忠昭氏

「僕は、スポーツをする習慣のない人には、『まずは1km』と勧めています。『1km走ることができたら、次の1kmは歩いてOK』というルールをつくれば、無理なく距離を延ばすことができるはずです。やがて自信がついてきたら、今度は『5km先の焼鳥屋まで走れたら、ビールと焼鳥で乾杯』なんてルールはどうでしょう。ちょっとワクワクしてきませんか?」

実はこれ、早野氏が「フュージョンランニング」と呼ぶ楽しみ方だ。フュージョンランニングとは、英語で言えば「Fuse Anything You Like into Running」。つまり、「1人ひとりが好きなものをランニングに融合させる」ということ。このAnythingの部分に、自分の好きなものを入れて自分らしいランニングを楽しもうという提案だ。

「例えば、音楽を聴きながら走るのが好きな人は“Fuse Music”だし、ビールを楽しみに走るのなら“Fuse Beer”になる。自然が好きで鳥の声を聞いたり自然を楽しみながら走るのが好きなら“Fuse Nature”。もちろん、ダイエットや健康のためだっていい。ランニングに、その人ならではの楽しみを組み合わせることによって、自分らしいライフスタイルを創造するきっかけにしてほしいのです」

ランニングというと、「キツイ練習に耐えることで、心身ともに健やかになる」というような、学校体育的なイメージを抱く人も少なくないだろう。早野氏が提唱するフュージョンランニングは、そんなイメージを一変させてくれる。誰かと競う必要も、他者と自分を比べる必要もなく、ただ自分のペースで、自分の楽しみのために走る……これほど自由な時間が、ほかにあるだろうか。