走ると脳が活性化し、仕事にも好影響!

昨年11月、早野氏は、日本陸上競技連盟(JAAF)が新たに発足させたプロジェクト『JAAF RunLink』のチーフオフィサーに就任した。このプロジェクトについて、早野氏はこう語る。

「かつてないほどのランニングブームを背景に、これまでトップアスリート中心の活動支援を行ってきたJAAFにおいても、一般の人々が安全・安心にランニングを楽しむ『ウェルネス陸上』を支援しようという機運が高まってきました。そんな発想から誕生したのが『JAAF RunLink』です」

プロジェクトでは、安全で安心な大会運営の環境づくり、全国の市民ランナーの情報をデータベース化するなどの活動に取り組むほか、企業、行政とも連携し、ランニングを楽しむ市民ランナーの裾野を広げる活動も行い、『2040年までにランナー人口2000万人を目指す』という目標を掲げている。

ランナー人口を増やすうえで欠かせないのが、「ランニングの効用」や「安全なトレーニング方法」などに関する情報の提供だ。

トップランナー 神野大地選手から直接指導を受けた様子は次回詳しく紹介する

「初心者ランナーの中には、『20分以上走らないと脂肪が燃えない』など、ひと昔前の情報や、エビデンスのない知識を鵜呑みにしている人も少なくありません。また、一念発起して走ってみたのはいいけれど、頑張りすぎたためにケガをしてしまい、結果としてランニングから遠ざかってしまった……などという話もしばしば耳にします。そんな残念なことが起こらないよう、安全・安心に走るための情報を、オフィシャルな形で提供したいですね」

『JAAF RunLink』のアドバイザーには、脳科学者の茂木健一郎氏と、実業家の堀江貴文氏が就任した。

「茂木さんによれば、走ると脳が活性化してストレス解消になり、ひらめきや発想が生まれるそうです。ご自身も、走っている間に多くのプロジェクトやアイデアを思いついたそうで、『忙しいビジネスパーソンにこそ走って欲しい』と話していました。フルマラソンやトライアスロンにも出場する堀江さんは、『自分にはできないと萎縮している人にこそ走り始めてほしい』と語ってくれました。お二人には、多忙な仕事の合間にランニングを楽しむ立場からアドバイスをお願いしています」

『JAAF RunLink』のホームページには、茂木健一郎氏が寄稿したコラムが掲載されている。かつてランニングをあきらめてしまい、挫折感に苛まれている人に、その一節を紹介したい。

「三日坊主でやめてしまったら、罪悪感などにとらわれずに、また始めればいい。一年に何十回も三日坊主を繰り返せば、それは立派な『ランナー』だ」

*次回は「実践編」。青山学院大学時代、箱根駅伝で“山の神”と呼ばれ、現在はプロランナーとして東京オリンピック出場を目指す神野大地選手に「ランニングを長続きさせる極意」について聞く。

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JAAF RunLink

text:Akira Umezawa

photograph:Wataru Mukai