クラフトビール同様に注目を集めるクラフトジンとは?

数あるリキュールのなかで、このところなにかと話題にのぼることが多いジン。2017年には日本の大手酒造メーカーもクラフトジンを相次いでリリースし、注目を集めた。クラフトビール同様、クラフトジンの魅力といえば、その多様な個性にある。

そもそもジンとは、ジュニパーベリー(ネズの実)というスパイスを必ず使用していること以外に大きな定義はなく、そのほか香りや味を形成するボタニカル(主にハーブや果皮など)なども自由自在。レシピも造り手、銘柄によって大きく異なる。たとえば、日本初のクラフトジンとして登場し、海外でも人気の高い銘柄『季の美』は、柚子や緑茶、山椒など、日本ならではの素材を採用。和のエッセンスを加えたプレミアムな味わいは華やかで複雑。ジントニックなどのカクテルでもロックでもその魅力を堪能できると高い評価を集めている。

ちょっとディープな匂いが漂う五反田ヒルズの2階でひっそりと営業する『Bar Lagu』
夜になるとお酒好きな人々が次々と吸い込まれていく「五反田ヒルズ」

クラフトジンの魅力を知るには飲み比べてみるのが一番!

酒場ツウのあいだではよく知られる、通称「五反田ヒルズ」。カジュアルな割烹に焼鳥店、カラオケバーなどが軒を連ねるディープな五反田名所の一角にある『Bar Lagu(バー ラギュ)』は、ナチュラルワインやクラフトビールも揃えるが、密かにクラフトジンを推しているバーだ。店主の安彦さんがこだわって探したクラフトジンを常時45種揃えており、その顔ぶれはイギリス、ベルギー、アメリカ、オーストラリアなど多彩だ。

NEVERSINKのネグローニ 1400円(税別)。ネグローニといえば、イタリアの食前酒の定番。ジンに対して、カンパリとベルモットを同量に。NY産のりんごや、スターアニス、アンジェリカなど11種のボタニカルを配合したジンはフルーティ。ちなみにネグローニのカクテル言葉は「初恋」

店主の安彦さんに最近、人気の高いジンの傾向を聞いてみると、「ジンは香りもフレーバーもさまざまなので完全に好みの話になってしまうけれど、最近はさとうきびを使ったニュージーランドのものや、ジントニック、ネグローニといったカクテルにはまるような造りをしているNYのものが人気です。個人的にはジントニックを作る場合はイギリスのジュニパーベリーの主張がしっかりしているものを使うことが多いですね」

店主の安彦精亮さん。「僕自身もクラフトジンの面白さに惹かれて、どんどん種類が増えていきました。お客様もここ数年でクラフトジンの魅力に開眼したという方もいらっしゃいます」

それでは、クラフトジンビギナーにはどういったタイプがおすすめ? と聞くと「イギリスのシップスミスは香りや苦みのバランスがよく、これを飲んでクラフトジンのファンになったというお客様も多い。同じくイギリスのサイレントプールジンは、ボトルも華やかではちみつの柔らかい甘みなども感じられるので女性ウケがとてもいいです。いろいろと飲み比べて自分の好みを見つけるのも楽しいと思いますよ」

シップスミスのジントニック 1200円(税別)。ウエストロンドンのクラフト蒸留所で造られるジンの一番の特徴は、銅製の超小型蒸留器を使用していること。キリリとシャープな飲み口で後味も爽やか。ジントニックはもちろん、マティーニを作る際にもぴったり
サイレントプールジンのジントニック 1300円(税別)。イギリスの南東部、サイレントプール湖畔に蒸留所を構える。ボタニカルは地元で作られるオーガニックラベンダーやエルダーフラワーなど。シナモンのスパイシーな風味、余韻には、はちみつのような柔らかな甘さを残す