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ウイスキーが持つ時間軸の長さは面白い。「ポートエレン 39年」は平成という一つの時代を軽々と超える熟成期間を経て、私たちの手元に届く。39年という時間の長さに思いを馳せられる大人でなければ、味わいつくすことはできないだろう。
(STYLE編集部)

1825年に創業したポートエレン蒸留所は 、その品質の高さから多くのファンに支持されていたが、1983年に惜しまれつつ閉鎖。しかし、慎重に貯蔵されてきた原酒は、少量ずつリリースされ、蒸留所閉鎖から30年余り経った今も、華やかで繊細な香りと味わい、アイラウイスキーらしいスモーキーさで、根強い人気がある。蒸留所は2021年再稼働予定だが、熟成には一定の年数が必要とされるから、しばらくは閉鎖前の原酒を楽しむよりほかない。その貴重な原酒を用いて作られたのが、今回紹介する「ポートエレン 39年」である。

アイラ島にはあの独特な香りを生むピートの湿地が広がっている

今回、マスターディスティラー(蒸留責任者)が唯一無二のポートエレンを表現するため、貯蔵樽からアメリカンオークとヨーロピアンオークのリフィル樽(すでに熟成過程を経験している樽)を厳選。しかも、世界限定1500本というから、その希少価値は高いといえる。

ポートエレン蒸留所は現在では当たり前となったスピリット・セーフ(アルコール濃度を測定し、検査・管理するため、南京錠で施錠された窓付き密閉容器。検度器)をいち早く取り入れた

「ポートエレン 39年」テイスティングノート
【色】
輝く金色の琥珀。
【香り】
柔らかなピートで始まり 、わずかに刺激がある。濃厚な果実、サルタナ、メロン、かすかなジンジャーエールにライム。その奥には、ハチミツと蜜蝋に続いてホワイトチョコレート、焦げたトースト。加水するとよりスムースで柔らかい印象。軽いワインの後に、熟したバナナと新鮮なフルーツサラダの甘み。
【味わい】
滑らかな舌触り、甘く、塩気があり後にスモーキー。冷たく刺激のあるミントと煙がホワイトチョコレートとフルーツサラダに変化する。加水すると乾燥ハーブが顔を出す。チョコレート、ミント、包み込むようなテクスチャーに、生姜とワインのほろ苦さがバランスを取る。
【余韻】
複雑でスパイシー、絶妙なバランスが最後まで続く。加水によってソフトな印象になるが、焦点は合ったまま。

スピリット・セーフの構造を模した2本の鍵が象徴的な専用ギフトボックス入り

ウイスキーの起源は15世紀ごろ。蒸留アルコールを意味するラテン語の“aqua vitae”(アクア・ヴィテ、「命の水」の意)に由来するといわれる。その名の意味の通り、かつては薬用目的であり、腹痛や天然痘の治療に使用された。現代においても、毎晩ウィスキーで自己を癒す時間を思えば、良薬といいたいところだ。ボトルを眺めているだけでも、至福の時間が過ごせそうな、世界限定1500本の「ポートエレン 39年」を、この機会に手に入れてみてはいかがだろうか。

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text:Naoko Tojo