シャツはボタンダウンに決めている
自分の服装が他人の目にどう映るかは大切なことですが、なにより身に着けている自分のメンタルがどう変化するかが重要だと考えています。その日の気分や心持ちも含めてコンディションを整える。そして自分のパフォーマンスを最大限に引き出す。服にはそういう効果がたしかにあると思います。
私は学生時代からアイビールックが好きで、ブランドではアメリカントラッドのなかでもJ.PRESS一筋。シャツはボタンダウンしか持っていませんね。襟がシャツから離れているだけで、なんとなく居心地がわるい。現在はネイビーかチャコールグレーのスーツがほとんどですが、20代の頃にはJ.PRESSの真っ赤なジャケットを着ていたこともあります。
当社の株主総会はいつも土曜日に横浜アリーナで開かれ、多いときは5000人以上の株主がお集まりになります。巨大なモニターに自分の顔が映し出され、経営状況をご説明する。企業トップにとって、これほどの大舞台もないでしょう。そういう場面でも私は必ずボタンダウン。気分を落ち着かせ、平常心を保つうえでの必須アイテムといえます。
スーツのシルエットはほぼ決まっていますから、アクセントをつけるとすればシャツとネクタイ。ここは他人の目にどう映るかの部分で、特にネクタイには伝えたいメッセージを込めます。自分の好みはイエローなのですが、株主総会では業績がよければアグレッシブな赤系、控えめに説明したいならクールな青系といった具合で選びます。
ネクタイには然るべき場面がある
ネクタイをプレゼントされたときも、その色や柄に相応しいビジネスシーンを思い描き、然るべき場面で締めようと大切に取っておくことがあります。自分では絶対に買わないと思うものでも、「そのネクタイ、似合っていますね」と褒められると、お気に入りの一本になることもあるから面白いものです。
その一方で、夏などネクタイを締めない日は、遊び心でジャケットの襟にネクタイ型のピンをよく付けます。社内はカジュアルな服装もOKなので、ノーネクタイにコットンパンツで出社することもあります。社長室の執務デスクに座ることはほとんどなく、カジュアルな服装の社員たちと一緒に働くのが私の好きなスタイルなのです。
愛用の逸品~5年日記
島田和幸/Kazuyuki Shimada
株式会社ファンケル代表取締役 社長執行役員 CEO
1955年生まれ、同志社大学法学部を卒業。79年にダイエー入社。2001年にダイエーを退社し、マルエツに勤めたあと、03年にファンケルに入社。17年4月に代表取締役社長CEOに就任。
text:Top Communication
photograph:Sadato Ishiduka
hair & make:RINO