不変のミルボンイズム

当社は美容サロン向けヘア化粧品で、国内シェアナンバーワンのメーカーです。今年からはコーセーと共同開発したサロン専用の化粧品ブランドで、スキンケア・メイクアップ化粧品の世界にも乗り出しました。

私が経営で最も大事にしているのが、何を変えるべきで、何を変えるべきでないかを峻別することです。

絶対に変えてはいけないのがミルボンイズムです。創業者の思いや信念を引き継いだ当社の礎で、つぶれない会社をつくる、現場主義を大事にするといった項目があります。

一方、経営理念やビジョンは時代や組織が変わればそれに応じて変化させるべきだと考えています。実際、かつて私たちの理念は「美しい髪」への貢献でしたが、化粧品事業に取り組もうと決めたときに「美しい生き方」への貢献に変わりました。

ミルボンイズムや経営理念、ビジョンなどは「THE MILBON WAY」として1枚にまとめ、全社員が常に携行しています。

このスーツは、タケオキクチ。スーツはセミオーダーか既製服のお直しで。一方、シャツは体にフィットするものをあつらえている

エトロのチーフで華やかさを

ファッションでも何を変え、何を変えないかは大事ですね。スーツはシックな黒系か紺系で、あまり遊びはありません。体質のおかげか体形がわりと細身なのでセミオーダーで十分です。既製服を直せば体に合います。既製服のほうが時代のトレンドを取り込んでいますからオシャレ度でいえばオーダースーツより優位かもしれません。

私がファッションで遊ぶのはネクタイやポケットチーフです。華やかな色柄が好きでエトロを愛用しています。チーフはクールビズでネクタイを外したときも格好のワンポイントになります。さすがにスーツまでエトロとなると華麗すぎてうまくコーディネートする自信はありませんが(笑)。今日身に着けているこのネクタイもエトロで、ペイズリー柄が隠し模様のように入っています。

お気に入りのタイとチーフ。挿し色として華やかな色柄のものを選ぶことが多い

私が日々お会いしているのはトレンドに敏感なサロンのオーナーさんたちです。オーソドックスなスーツスタイルだけでは相手からオシャレと思ってもらえません。

服は自分で百貨店に出かけ買っています。店員任せにはしません。ただ、自分で選んでいるとファッションが固定化してきます。ときどきはちょっと冒険したものを選び、店員さんに「こういうのはどう?」と尋ね、マンネリ化を防いでいます。

愛用の逸品~アシックスのビジネスシューズ

私もミルボンの現場主義を体現するため頻繁にサロンを訪問し、オーナーさんと面会することに勤しんでいます。毎年、国内で300軒、海外で100軒。歩く距離も相当です。外見はまったくのビジネスシューズですが、履き心地はソフトで疲れにくい。いわば走れるビジネスシューズです。私のビジネスシューズは7足すべてがアシックス製。色は黒と茶で、茶は明るめからダークなタイプまで揃えています。

佐藤龍二/Ryuji Sato
ミルボン代表取締役社長
1981年ミルボン入社。関東エリアでの営業を担当後、93年にマーケティング部へ異動。2008年に代表取締役社長へ就任。10年に新たなグローバルビジョンを掲げ、本格的な世界展開を開始。17年にはコーセーとの合弁会社を設立し、美容室専用の化粧品事業に着手。

text:Top Communication
photo:Tadashi Aizawa
hair & make:RINO