メガネで印象を変える

当社は社長や営業担当専務のように人前へ出る機会の多い上級役員にはスタイリストが付きます。今日着てきた“勝負服”もスタイリストに選んでもらったゼニアのスーツです。社長に就任するまでは学生時代からずっとアメリカントラッドを愛用してきました。今はずいぶんスリムなイタリアンスーツに変わり、ちょっと窮屈です(笑)

スーツだけでなくメガネも変えました。以前はもっとカチッとしたタイプでした。スタイリストから表情が「厳めしく見える」と指摘されたのです。自分では優しく見えていると思っていたので、自分が抱いているイメージとはだいぶ違うなと感じたものです。

スーツは制服のようなものですからまだ選ぶ難しさはないのですが、ビジネスカジュアルはハードルが高いですね。当社では金曜日はジーンズを履いてきてもいいことになっています。

私はふだんでもあまりジーンズは身に着けません。でも秘書に促され、私もトップ自らお手本を見せるのも大切と、管理職会議でスピーチしたときジーンズ姿で登壇しました。周りに尋ねると結構インパクトがあったようです。

かつてはアメリカントラッドのボックスシルエットを好んで着ていたが、現在はスタイリストの提案によりイタリアのブランドが中心に。信頼感を与えつつ、それでいて柔らかな印象をつくっている

日本の会社になれた喜び

アフラックは2018年4月に米国法人の日本支店から株式会社へと変わりました。40年以上、日本で営業し、たくさんのお客様を持ち、代理店や社員との絆も深いものがあるので、早く日本の会社になりたいという強い気持ちがありました。晴れて日本の会社となりとてもうれしく思います。これを日本における第二の創業と位置づけ、今後一層、日本のお客様や社会に責任を持って経営していきたいと気持ちを引き締めています。

米国支店から日本の株式会社への転換は、経営判断のスピード化をもたらすメリットもあります。支店時代は日本で取締役会を開けず、それだけにガバナンスを必要以上に強化する傾向がありました。本来なら会議にかけなくてもいい案件でも、ガバナンス上、念には念を入れて話し合うことも多かったのです。

今は多くの業務が担当執行役員の判断で進められ、機動的な経営が可能になりました。最初はみんな、会議にかけないと不安がっていましたが、現在は会議にかけられる議題は3分の1に減っています。

愛用の逸品~米国ローファームからプレゼントされたティファニーの置時計

勤務先の日本長期信用銀行から米国のロースクールに留学し、1989年に卒業した後、7カ月間をニューヨークのローファームで過ごしました。日本人としては初めての研修生です。研修最後の日、サプライズで贈られたのがこの時計。天辺に私の氏名を彫り込んでくれています。貴重なリーガル・トレーニングを受けた時代の自分の大切なマイルストーンと思い、いつもデスクの上に置いています。

古出眞敏/Masatoshi Koide
アフラック代表取締役社長
1960年、東京生まれ。84年東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行に入行。米コーネル大学ロースクールに留学し、ニューヨークで弁護士登録。98年アフラック入社。その後、いったん退社し、2008年に再度アフラックに入社。18年より現職。

text:Top Communication
photograph:Sadato Ishiduka
make & hair:RINO