上質で気品を感じる服装
当社の中核事業は、企業の管理部門職種と弁護士や公認会計士、税理士などのいわゆる“士業”に特化した人材紹介事業です。2016年に株式上場を果たし、このことが私の装いに大きな影響を与えました。
それまでもスーツや靴はオーダーで、体に合うだけでなく、カッコよさやセンスを感じさせるものを選んできたつもりです。たとえば今日履いてきた革靴は遠目には黒っぽく見えますが、実は濃いグリーンで、割合と珍しいタイプだと思います。
上場以後は、上質で気品の漂うものを持とうという意識も強くなりました。周囲からは、どんな靴や時計かを見られます。先輩経営者から、持つべきものをお勧めしてもらうこともあります。今は一部上場企業の代表としてそれにふさわしい格好をより心がけるようになりました。
気品は見た目だけではありません。心の状態からも滲み出てきます。優しさや豊かさ、それに躍動感やチャレンジ精神などが人の気品をつくり出すと思っているので、その点はかなり気を付けています。
感性の高い人材を採る
ファッションにセンスが必要なように、ビジネス界で成功する人にもセンスが欠かせません。そのセンスで最も重要な要素が感性の高さです。感性の高い人は好奇心が旺盛で、変化を好み、想像力がたくましい。様々なことに興味を持ち、わくわくするとすぐに行動に移します。感性は私が社員に求める一番の素養です。
対して、考えすぎる人材はあまり求めていません。頭で考えると体が動かなくなります。理性はそもそも変化を好まないものだと思います。それでは社会の変化の兆しを捉え、新しいサービスを創造することはかなわないでしょう。
感性を重視することの裏付けには当社の事業の成長があります。
私たちは法律改正や制度変更、あるいは時代の変化にどこよりも早く対応し、新しいマーケットをつくり、それを成長の原動力としてきました。たとえば上場企業が会計ルールを国際会計基準に変更する動きをいち早く捉え、新しい会計基準に知見が深い人材を提供し、株式公開の増加を見越してIPOに強い人材をリストしてきました。
私は社員に対して「考える必要はない。感じる人しか伸びないよ」とよく言っているのです。
愛用の逸品~革選びから形まで自分で決めたオーダーメードの靴
有本隆浩/Takahiro Arimoto
MS‐Japan代表取締役社長
1961年生まれ。85年、リクルートに入社し、人材採用の提案業務に従事。90年、日本MSセンター(現・MS‐Japan)設立。95年、人材紹介事業の許認可を取得し、管理部門特化型エージェントとして業界をリード。
text:Akifumi Oshita
photograph:Tadashi Aizawa
hair & make:RINO