襟元と靴がオシャレポイント

服装で一番気を遣うのは、食品・飲料会社の社長ですから健康的かつ清潔に見えることです。ネクタイは黄色をよく選びます。当社の看板のレモン関連商品やコーンポタージュを連想する黄色で元気さを演出します。また、スーツがヨレヨレだったり、靴が汚れていたりではどんな高価なものでも台無しです。

靴は意外に気になるアイテムです。2017年に社長に就任して以来、会社の代表として公の場に出席する機会が増えました。なかには100人規模の祝宴もあります。人数が多いため、名刺交換しても相手の顔をすべて覚えるのは難しいこともあります。印象に残るのはむしろ襟元やおじぎをしたとき目に入る靴なので、相手の方に悪印象を与えない意味でもケアは欠かせません。

そこで、靴磨きを週末の習慣にしています。無心になれて良い気分転換になるひとときです。靴も鞄も良く手入れされている人を見るとカッコいいと思いますね。自分自身もそうありたい。

スポーツで鍛えた体に合わせて、スーツはオーダーが基本。そこに商品から連想したイエローのネクタイを合わせ、明るく、清潔な印象を心がけている。とりわけ靴磨きは欠かさず続けている習慣

素材の強みで存在感を示す

印象が大事なのはファッションばかりでなく、企業も同じです。ビールなら大手は4社しかないので認知度は高いでしょう。しかし食品・飲料会社は多すぎて特徴がなければ埋没しかねません。

当社は素材、とりわけレモンに強みがあります。レモン輸入が自由化される前「気軽にレモンを」との思いから1957年に会社を設立し、それ以来、研究開発を重ねてレモン果汁やレモン飲料・食品をお客様に提供してきました。今は家庭用レモン果汁で8割を超えるシェアを有します。レモン果汁100%で製造から9カ月間常温保管できるなど、当社の技術開発力を蓄積してきた商品です。

世の中は健康志向が進んでいますから、ビタミンCやクエン酸を多く含むレモンは今後ますます注目されると思います。また料理にレモン果汁をうまく使えば、レモンの酸味や香りが塩味を引き立て、美味しく召し上がっていただける減塩も可能。さらにレモンの香りは気持ちをリラックスさせる効果もあります。

消費者が求める簡便性にも、カップ入りスープなどの商品開発を通じて応えています。健康、簡便性、もちろん美味しさはそのままに、他社製品と差別化し、存在感のある会社にしていきたいと考えています

愛用の逸品~世界で一つ、ロゴをあしらったゴルフバッグ

コースを一緒に回る人からは「面白いバッグですね」と言われたり、キャディーさんから「これ何ですか」と聞かれたり、会話のつかみには最高です。私が社長になったとき、同じタイミングで当社の取締役からサッポロビールの社長に就任した高島(英也)から譲られました。「キャッチフレーズどおり『おいしい!(ヒラメキ)がある』商品を世に出してください」という言葉とともに。

岩田義浩/Yoshihiro Iwata
ポッカサッポロフード&ビバレッジ 代表取締役社長
1961年生まれ。東京都出身。84年に慶応義塾大学法学部を卒業後、旧サッポロビール入社。2011年サッポロホールディングス経営戦略部長を経て、14年サッポロインターナショナル社長に就任。17年より現職。

text:Akifumi Oshita
photograph:Tadashi Aizawa
hair & make:RINO