「トリプルスプリット」――A.ランゲ&ゾーネ A.LANGE & SÖHNE
この突き詰めっぷりがランゲらしさ。スプリットセコンド3部作の最終章
スプリットセコンド・クロノグラフとは、2本の計測用秒針により一定の距離ごとの経過時間(ラップタイム)や2つの異なる事象の時間差を測ることができる機能。数あるクロノグラフ機構の中でも、最高難度と位置付けられている。
通常、ラップタイムや時間差は“秒”単位までしか計測できないが、A.ランゲ&ゾーネはそこに挑んだ。2004年、“分”単位まで計測可能な「ダブルスプリット」を完成させて世間を驚かせたが、2018年はついに“時”単位まで表示する「トリプルスプリット」へと到達、12時位置の12時間積算計にスプリット針が加わった。もちろん世界初の偉業である。
完璧を求め、とことん突き詰めて開発するランゲらしい新作「トリプルスプリット」。この登場によって、スプリットセコンド・クロノの機能進化は一つの完結を見たと言える。
「ピアジェ アルティプラノ」アルティメート・オートマティック 910P――ピアジェ PIAGET
名作900Pの自動巻き版は、ビジネスシーンに似合う極薄エレガント
ピアジェの歴史は薄型時計開発の歴史と言っていい。21世紀だけを見ても10種以上のムーブメントで世界最薄の記録をつくってきた。そんな歴史の中でも、2014年発表の「ピアジェ アルティプラノ」 38mm 900Pは新機軸であり別格。ムーブメントを裏表反対に配置し、その地板がケースバックを兼ねるという新発想で、ケース厚3.65mmの極薄手巻き時計に至った。
今年発表された「ピアジェ アルティプラノ」アルティメート・オートマティック 910Pは、その自動巻き式バージョン。弧状の回転錘がムーブメントの外周に沿って回転するペリフェラルローターの採用により、ケース厚は4.3mmに。薄型かつエレガントな自動巻きは、デザイン面・実用面ともにビジネスユースにふさわしい。
「フリーク ビジョン」――ユリス・ナルダン ULYSSE NARDIN
完成形と思われていた自動巻きシステムを基本設計から刷新
「フリーク」はユリス・ナルダンの先端的な開発が投入されてきたモデル。2001年の誕生時には、ムーブメントを回転させて重力誤差を低減するカルーセルを独自にアレンジした機構が耳目を集め、その後、多くのブランドが開発に乗り出すシリシウム製脱進機をいち早く備えていた点で先進的だった。
新作「フリーク ビジョン」は同モデル初の自動巻きだが、特筆すべきは巻き上げ効率の向上にある。ローターの構造を根本から設計し直し、4本のアームで構成されるフレームとリンクさせた新構造により、理論的には2倍の巻き上げ効率を実現した。時刻表示は白い三角マーカーが時を、ブリッジの先端が分を指し示す。