「ビッグ・バン メカ-10 ブルーセラミック」――ウブロ HUBLOT
SIHHの会期と同じ1月下旬、ウブロはジュネーブ市内のホテルで単独の新作展示を行った。目玉となる新作は3月のバーゼルワールドで発表される予定だが、それでもこの時だけで新しい素材や色、サイズを採用した60型以上のモデルを発表した。
「ビッグ・バン メカ-10 ブルーセラミック」は、ケースやベゼル、そしてストラップまで統一されたブルーに合わせて、ムーブメントの一部をマットブルーに加工した新作。シースルーダイヤル仕様の割には落ち着いた印象に仕上がっている。搭載する自社開発のムーブメントは10日間のパワーリザーブを持ち、その残量が残り3日になった時点で、3時位置では赤いマーク、6時位置では残日数が表示される。
「エクスカリバー アヴェンタドール S」――ロジェ・デュブイ ROGER DUBUIS
ランボルギーニと提携した最初のモデルは、アヴェンタドールのイメージ
ロジェ・デュブイは2017年9月から、「Extravagance & Performance(贅沢と性能)」を共通のDNAとしてランボルギーニとのパートナーシップを結んだ。その協力関係による最初のモデルが「エクスカリバー アヴェンタドール S」。
このブランドが得意とするスケルトン技術をベースに、5つの特許機構を加えた新型のキャリバーRD103SQを搭載する。45度傾いた2つのテンプやエンジンルームを想起させるような輪列カバーなど、アグレッシブな意匠がいかにもロジェらしい。ケースにはランボルギーニ・アヴェンタドールの内装に使用されているC-SMCカーボンを採用している。
斬新な外観に目が行きがちだが、中身の品質が非常に高いのも同ブランドの特長。本モデルも、高品質の証であるジュネーブ・シールを取得している。
「クラシック ブリッジ 40mm」――ジラール・ペルゴ GIRARD-PERREGAUX
歴史的デザインに焦点を当てた、魅せるブリッジの代表格
ジラール・ペルゴには両端が矢印形に成形された3本のブリッジが横たわる「スリー・ブリッジ」というモデルがある。1889年のパリ万博で金賞に輝いた懐中時計に着想を得てつくられたもので、これまでに最下のブリッジでトゥールビヨン機構を固定したモデルを多く製造し、同ブランドのアイコン的デザインとなってきた。
2018年の新作はこのデザインを再解釈。ブリッジを2本に減らしてトゥールビヨンを搭載しない2針モデルを発表。ブリッジ一つで個性を出せるブランドはほとんどなく、しかもそこにストーリーがあるという、通をもうならせるシースルーモデルだ。
シースルーモデルは“見た目”で選べ!
シースルーダイヤルが見られるようになったのは21世紀に入ってからのこと。時計の表側からも機械式であることがひと目でわかるようにとの意図から、ダイヤルに丸いオープンワークを施したのが始まりだ。折しも2000年代はトゥールビヨン開発の最盛期。ダイヤルのオープンワークからテンプを載せたキャリッジが回転するさまを見せたモデルが相次いで発表された。
こうしたダイヤルが人気を博したことから、インデックスやインダイヤルなど必要最低限の要素のみを残してダイヤルを廃したシースルーダイヤルへと至った。ウブロやフランク ミュラー、リシャール・ミルなど前衛性を打ち出すブランドがその流れを牽引し、ここ数年は各種パーツのレイアウトやブリッジのデザイン、さらに新素材などを駆使してブランドのオリジナリティーを強調したモデルが増加傾向にある。
2018年のSIHHでは、主だったところではオーデマ ピゲやリシャール・ミル、そしてジラール・ペルゴが特徴的なデザインのブリッジを備えたモデルを発表。フランク ミュラーは3都市の時刻を表示するマスターバンカー機構を初めて露わにし、ウブロはムーブメントの受けや香箱をブルーに着色……と、内部機構の見せ方は各ブランド各様。単にシースルーにして内部機構を見せるだけでは差別化が図れず、それぞれの個性が求められる時代になってきたといえる。
腕時計デザインの21世紀的進化と呼べるシースルーダイヤル。ブランドの独創性を楽しみながら、自身の趣味嗜好のままに“見た目”重視で選びたい。
text:Hiroaki Mizuya(d・e・w)
photograph:Kazuteru Takahashi