ダイバーズのデザインに新しい扉を開く

初めてダイバーズウォッチを買おうと思ったら、何が良いのか迷ってしまう人が多いのではないか。よほど詳しい人でもない限り、ブランドやモデルを問わず、一般的なダイバーズウォッチはどれも似て見えてしまうからだ。実際に潜水時に着けるのではなく、個性の演出のために買おうと思っている人であれば、なおさら「似たように見える」のは困るだろう。とはいえ、ダイバーズウォッチの基本仕様を忠実に守れば、見た目が似てくるのはある意味当然だ。伝統的な時計ブランドほど、類似したデザインになりがちなのは否めない。

ジュエラーとしてのみならず高級ウォッチメーカーとして独自路線を歩むカルティエは、2010年に誕生したメンズ専用の「カリブル ドゥ カルティエ」を本格ダイバーズウォッチへと進化させて、この問題に斬新な解決策を与えている。それが2014年に発表された「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー ウォッチ」である。

エレガントなデザインが魅力。Photo 2000 © Cartier
ダイヤルデザインに独創性が感じられる。リュウズトップのファセットもダイバーズウォッチでは異例。 NILS HERRMANN © Cartier

ダイバーズウォッチに取り組むにあたり、カルティエがまず試みたのは、他のどことも似ていない、カルティエらしいアイコニックなデザインを取り入れたことだった。ローマ数字やスモールセコンドの大きなサブダイヤル、3連続の日付表示などを配した文字盤は、ふつうのダイバーズウォッチではまず見られない特殊なデザインである。カルティエならではの洒落たセンスが相まって、日常使いの時計としても十分にスタイリッシュだ。

「カリブル ドゥ カルティエ ダイバー」。ステンレススティールケース。ケース径42mm。自動巻き。ラバー・ストラップ。300m防水。パワーリザーブ約48時間。85万2500円(税別) Photo 2000 © Cartier

しかもカルティエ自社製の高性能自動巻きムーブメントを搭載するケースは、回転ベゼルと厚いサファイアクリスタルを含めても厚さがわずか11mmで、ダイバーズウォッチとしてはかなり薄型。ダイバーズにありがちな無骨なイメージを払拭し、エレガントで着けやすい腕時計に仕上がっている。

カリブル ドゥ カルティエ ダイバー ウォッチとはどんな時計か? 一言でいえば、「デザインのオリジナリティーと本格機能の2つが同時に手に入る、秀逸なモデル」ということだ。

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