このスタイリッシュさがベル&ロスの真骨頂

針の回転運動で時刻を示すアナログ時計の基本デザインは、そもそもが丸形だ。ダイバーズウォッチも例外ではない。ダイバーズウォッチのほとんどすべてのモデルがラウンドケースを採用している。パッキンの装着や、ケースの構成部品の気密性という観点から考えてもラウンドケースが最良だが、ベル&ロスが発表した「BR 03-92 ダイバー」は異例中の異例ともいえる角形ケースのダイバーズウォッチだ。

1992年にパリで創業したベル&ロスは独特の世界観を持つ時計ブランドとして有名だ。発想の原点にあるのは、航空機のコックピット計器やヴィンテージのミリタリーウォッチの機能的なデザイン。センスの良い洒落たデザインにプロ使用を意識した高機能を盛り込む絶妙なテクニックに長けており、世界で根強い人気を誇る。今回取り上げた「BR 03-92 ダイバー ブルー」も、そんなベル&ロスらしい創作姿勢がよく表れている。

「BR 03-92 ダイバー ブルー」。ステンレススティールケース。ケースサイズ42×42mm。自動巻き。ブルーのラバー・ストラップとブラックのシンセティックファブリック製ストラップの2本付属。300m防水。45万円(税別)

ベル&ロスは、1997年からプロフェッショナル向けのダイバーズウォッチを開発してきたが、正方形ケースを採用したこの異例のモデルが発表されたのは2017年のこと。以前からパイロットウォッチに用いてきたオリジナルの角形ケースを土台にして、そこに丸い文字盤とリング状の回転ベゼルをセットしたデザインは、ベル&ロスらしい精悍でスタイリッシュなフェイスをしているのに、紛れもなくダイバーズウォッチだ。

性能まで“カッコいい!”出色のダイバーズ

要注目はここからである。“ダイバーズ”を気取ったデザインウォッチと思ったら大間違い、ダイバーズウォッチの基準を厳密に定義する国際規格ISO6425を満たす、本物のプロフェッショナル・ダイバーズなのだ。水深300mに耐える防水性能、逆回転防止ベゼル、視認性の高い文字盤、耐衝撃、防磁などはその一部だが、とくに視認性に関しては、潜水中の経過時間の確認に重要な分針が際立つように蓄光塗料を工夫するなど、安全性への細かな配慮が伺える。

リュウズには耐衝撃保護装置を備える
暗い海中で分針とインデックスのみが目立つよう配慮されている

これまで取り上げてきたダイバーズウォッチの中では、「計器」といった趣が強いモデルながら、今年加わった新色ブルーは、スポーティーで美しく、印象も爽やか。42mmケースは程よいサイズで、強靭かつしなやかなラバー・ストラップも快適な装着感をもたらし、日常生活でも大いに活用できる。人とは違う個性的なダイバーズをぜひ着けたいと望むこだわり派にお薦めだ。

text:d・e・w