「働く男を刺激するクロノグラフ」の第2回は、ビジネスからカジュアルまで幅広くこなすスイスのブライトリングの「プレミエ」。オンとオフのマルチプレイヤーとしてだけでなく、今に続くクロノグラフの原型を創ったイノベーターとしての顔も持っている。ふとこの時計が目に入れば、何か新しい価値を創造しているのか、と自分に問いかける契機にもなるはずだ。イノベーティブなビジネスパーソンの腕に相応しい一本を紹介しよう。

この時計に刺激を受けるのは、こんな男だ!


・発明精神に引かれる人
・やっぱり「餅は餅屋」と考える人
・オン・オフ問わずに使える1本を求める人

2018年の秋にブライトリングが発表した「プレミエ」は、1940年代に製作した同名のクロノグラフからインスピレーションを得て、そのエレガントな雰囲気を現代的なセンスで表現した最新コレクションである。現代に甦った新生プレミエのクロノグラフ、何よりヴィンテージとモダンが絶妙にブレンドされた、スタイリッシュで都会的なデザインに特色があり、ふだんのビジネスからオフまで、シーンを問わず着けられるところが素晴らしい。スーツスタイルでは品格を添える良きアクセントになり、カジュアルスタイルに合わせれば、若々しい感覚が一段と際立つ。デザインのみならず、ブライトリング伝統の精巧な機械式クロノグラフの性能や品質においても秀逸だ。

クロノグラフ機能には、計測のスタートとストップ、計測結果のリセットという3段階があり、これらはすべて専用ボタンの操作で行う仕組みになっている。クロノグラフ機能を組み込んだ時計を懐中時計ではなく、いち早く腕時計として1915年に発表したのがブライトリング。当時の腕時計クロノグラフは、独立したプッシュボタン1個で一連の全操作を行うタイプで、このような「モノプッシャー」あるいは「ワンプッシュ」という言葉で呼ばれるタイプのクロノグラフが30年代までは主流だった。

1915年に腕時計型として初めて発表されたブライトリングのクロノグラフ。2時位置に独立した操作ボタンを配置する

1934年には、ブライトリングがクロノグラフ機能の操作ボタンをリュウズの上と下の位置に一つずつ配し、上のボタンにスタートとストップ、下のボタンにリセット機能を配分する方式を開発。それ以来、現在に至るまでメーカーを問わず機械式の腕時計クロノグラフのほぼ全モデルに採用されてきたのがこのブライトリングの方式なのである。

1934年にブライトリングが初めて発表した2プッシュボタン式クロノグラフ。上でスタートとストップ、下でリセットを行う

1940年代のブライトリングといえば、軍用や航空用時計のメーカーとして大いに名を馳せた。その一方でプレミエシリーズのように、上品な贅沢感を湛えるクロノグラフもつくっていた、いわば知られざる一面もあるのは興味深い。

プレミエシリーズはオン・オフ問わずに着用できる洗練されたデザインが目を引く

働く男を刺激するクロノグラフ#2
ブライトリング「プレミエ B01 クロノグラフ 42」

ステンレススティールケース。ケース径42mm。自動巻き。100m防水。クロコダイル・ストラップ。92万円(税別)

リュウズの上下に配された角形プッシュボタンや、スモールセコンドと30分積算計が横並びのダイヤル、ドーム型のサファイアクリスタルなどに1940年代初期のクロノグラフの雰囲気を再現。ブライトリング自社開発・製造による自動巻きクロノグラフ・ムーブメントは70時間以上のパワーリザーブが備わり、COSC認定クロノメーターの高精度。

text:Shigeru Sugawara(d・e・w)