ブライトリングの「ナビタイマー」といえば航空用クロノグラフの代表格である。1952年に登場するやいなや航空界のプロたちから支持を得るが、その最大の理由は世界で初めて回転計算尺を備えていたことにあった。

今年2018年にアップデートされた最新モデル、「ナビタイマー 1 B01 クロノグラフ 43」も、初代モデルから継承される回転計算尺を装備している点が特色だ。現在のようなハイテク計器や管制システムが未発達だった当時、クロノグラフ機能と計算尺を使って、航空機の操縦に必要な一連の計算ができたというから、空のプロフェッショナルたちは「ナビタイマー」を一種のフライト・コンピューターとして利用したわけである。まさに「計器」としてのクロノグラフなのだ。

この時計に刺激を受けるのは、こんな男だ!


・プロ向けのスペックに目がない人
・空や飛行機への憧れを持つ人
・適度なアクティブさを求める人

「ナビタイマー 1 B01 クロノグラフ 43」。B01は自社製キャリバー01を搭載することを示す。写真はブラックダイヤルモデル

本連載の第2回で紹介したスイスのブライトリングは、クロノグラフを航空の分野に結び付け、航空機の発展とともに独自の時計づくりを展開してきたことで知られる。戦前は、現在スタンダードとして広く採用される画期的なクロノグラフの操作機構と並んで、航空機に搭載するコックピット計器を世界に供給して名を馳せる存在だった。

そうした背景のもとに生まれた名作クロノグラフが、回転計算尺を備える世界初のモデル「クロノマット」(1942年)や、特別な航空用回転計算尺が備わるこれまた世界初の「ナビタイマー」(1952年)であった。

1952年発表の初代ナビタイマー。右写真、文字盤中央のAOPAのロゴは、世界最大の パイロット協会AOPAがオフィシャルウォッチとして認めた証し

いまや計算尺の仕組みに通じ、実際に活用できる人はごくわずかしかいないだろう。だからといって回転計算尺が無用の長物かというと、必ずしもそうではない。一目で「ナビタイマー」と識別できるデザイン要素としてこれほどユニークネスを強烈に主張できるものはないからだ。

さらにまたその独特のデザインがスタイリッシュに見えることから、ファッション感覚で着ける洒落者さえ少なくない。あくまでもプロ気分を味わうためか、それともファッション感覚でいくか、どちらの目的にもふさわしい秀逸なクロノグラフなのは間違いない。

働く男を刺激するクロノグラフ#4
ブライトリング「ナビタイマー 1 B01 クロノグラフ 43」

ステンレススティールケース、ケース径43mm。3気圧防水。クロコダイル・ストラップ・モデル90万円、ステンレススティール製ブレスレット・モデル98万円(ともに税別)

「ナビタイマー 1」はクラシカルなデザインを踏襲しながら、現代的にアップデートした2018年の新世代コレクション。中でも43mmケースで、オーロラブルー・ダイヤルのこのクロノグラフが着けやすく、見栄えもお洒落。自動巻きクロノグラフ・ムーブメントはブライトリング自社開発製造。COSC認定クロノメーターの高精度を誇り、70時間以上のパワーリザーブも備わる。

text:d・e・w