「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン アポロ8号」は、ブラックセラミックによる文字通りダークなケースに精巧なスケルトン仕上げダイヤルをセットし、そこから透けて見えるムーブメントには、レーザー加工で凹凸を施し、さらにパーツをブラックに彩って月面の神秘的な表情を模しているところが特徴である。
この時計に刺激を受けるのは、こんな男だ!
・スケールの大きな仕事に挑む人
・緻密かつ、スポーティなデザインを好む人
・歴史的なエピソードにロマンを感じる人
しかも、そこに仕組まれた演出がなんとも絶妙である。腕時計の常に見える面、すなわちクロノグラフのダイヤル面は明るい色合いでまとめられ、地球から見た月を思わせるデザインになっている。一方のケース裏面はといえば、宇宙飛行士だけが目にすることができる“ダーク サイド オブ ザ ムーン”=月の裏側を象徴しているのだ。
実際、誰一人として見たことがなかった謎に満ちた月の裏側を初めて見たのは、アポロ8号の乗組員だった。その事実をケース裏面のデザインに盛り込んだのである。しかも外周に“We’ll see you on the other side=あちら側でまた会おう”という言葉を刻む。これは、アポロ8号の司令船の操縦士ジム・ラヴェルが月の裏側に向かうときに口にした有名な言葉だ。
来る2019年は、人類初の月面着陸という歴史的偉業が成し遂げられてから50周年である。アポロ11号に乗り込んだ宇宙飛行士たちが装着していた「スピードマスター」は、月面着陸に成功して以降、「ムーンウォッチ」の名で広く親しまれるようになった。アポロ8号ミッションにまつわるこのモデルに搭載されているのも「ムーンウォッチ」と同様の手巻きクロノグラフ・ムーブメント。1869と命名したムーブメントの69は、言うまでもなく人類が初の月面着陸に成功した年を表しているのだ。アポロ8号を称えたモデルであり、11号の偉業を記念するムーブメントを搭載するこの時計は、ロマンを求める愛好家にとっては、特別な意味を持つ。
そして、隠し味として効いているのが、ブラックにくっきりと映えるイエローのクロノグラフ針。NASAの装備品として採用され、宇宙空間で活躍してきた「スピードマスター」は、実はその名から想像がつくように、もともとはモータースポーツ向けのクロノグラフとして1957年に開発されたもの。アポロ8号のミッションが遂行された1968年にオメガはクロノグラフの視認性を高めるために色付きの針や目盛りを初めて採用した「スピードマスター レーシング」を発表する。このイエロー針は、そうしたエピソードの象徴でもあるのだ。
このクロノグラフを腕に着ければ、気分は偉大なミッションを遂行する宇宙飛行士のよう。宇宙ならぬ日常の場面でも、自分がヒーローに思えてくるのではないだろうか。モチベーションを高めるのに効果てきめんなだけでなく、宇宙のロマンに思いを馳せて大きなスケールでビジネスの夢やビジョンを描くのにもうってつけかもしれない。
働く男を刺激するクロノグラフ#9
オメガ「スピードマスター ダーク サイド オブ ザ ムーン アポロ8号」
「スピードマスター」のオリジナルデザインを踏襲しつつ、「ダーク サイド オブ ザ ムーン」のモデルチェンジに取り組んだ最新作は、ダークな背景と対を成す鮮やかなイエローが印象的。ブラック×イエローの配色は、レザーストラップにも生かされ、精悍なクロノグラフにスタイリッシュな雰囲気をプラス。
text:d・e・w