「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー 5212A」
──パテック フィリップ
目立たず、騒がず

表の顔はあくまでもシンプルで何気ない。人目を引くような派手なものではなく、テンプや歯車の改良であったり素材の見直しであったり、地味だけれども腕時計の性能のベースアップには絶対に必要な、いわば裏方部分の開発に継続して取り組むのがパテック フィリップである。今年の新作「カラトラバ・ウィークリー・カレンダー 5212A」では、今日が一年の何週目かを示す週表示機能を加えた新型キャリバーを製作したが、同時にベースムーブメントを見直して改良を加えた。一番の改良点が歯車の遊びを抑制して秒針のブレを防ぎ、メンテナンス性にも優れた新型歯車の採用。通常、歯車の遊びの調整は時計師の技量に委ねられており、どうしても個人差が出る。その調整作業自体を不要とした。

何世代先であろうと必ず直し切るポリシーがあればこそ

パテック フィリップには「自社で製造された時計と認められればどんな時計でも修理する」というポリシーがある。歯車の改良という地味な開発に相当な時間をかけて取り組むなど、数世代先まで手を入れながら使われることを想定しない限り本腰は入らない。「世代を超えて」とは高級時計の世界ではよく聞くフレーズだが、その言葉に嘘がないのがパテック フィリップである。

写真中央、ひときわ長い歯を持つのが今回開発された特殊な歯車。歯にバネ性を持たせることで歯車の遊びを抑制する

「Calatrava Semainier Ref. 5212A」

今日が一年の何週目かを示す週表示機能を搭載。文字盤外周、月表示の内側に置かれた53の目盛りで週番号を示す。新しく開発されたキャリバーはベース部分も改良が図られた。歯車の遊びを抑える新型歯車の採用のほか、ストップセコンド機能や過度な巻き上げをリリースする機構が盛り込まれた。生成りがかったダイヤルに手書き風の各種表示、ステップが付いたラグなど、ビンテージ調の趣が漂う。

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text:d・e・w
photograph:Kazuteru Takahashi