「デファイ インベンター」
──ゼニス
ゼニス、未来を開く
3万6000振動/時というゼニスのハイビート・ムーブメント「エル・プリメロ」が今年誕生50周年を迎えた。エル・プリメロといえば、その性能といい求めやすい価格といい、腕時計のコアなファンの間では「名機」として高い支持を集めてきた。ファンだけでなく高級時計ブランドからもエル・プリメロへの需要は高く、ゼニスはムーブメントを他ブランドに供給していたこともある。
クオーツ全盛の一時期、ゼニスは経営的な困難に陥ったことがあったが、それを乗り越えてきたのもエル・プリメロを手放さなかったからだ。LVMHの傘下に入って以降、エル・プリメロの改良、進化を着実に成し遂げ、いまや技術のみならずエステティクスでも先端的で、紛れもなく高級機カテゴリーに位置する。
革新につぐ革新。ゼニスらしさを追求して超ハイビートに到達
今年の新作は「デファイ インベンター」。「発明者」というネーミングが大げさでないのは、3世紀以上続く伝統的なテンプを用いた調速装置を「ゼニスオシレーター」というハイテク部品に置き換えた。文字通り画期的な発明である。調速機は複雑な形をした単一結晶シリコン製パーツが一つ。振動数は12万9600振動/時と超ハイビート。腕時計の歴史の新たな頁が開かれた。
「Defy Inventor」
エル・プリメロがゼニスの根幹を成す革新的技術であったように、その50周年の今年発表されたのが「デファイ インベンター」。今後のゼニスを担う先端技術が搭載された。従来のテンプによる調速機を新技術による発明「ゼニスオシレーター」で置き換えた。1個の複雑な形状の単一結晶シリコン製パーツがテンワとひげぜんまいの役割を担い、6時位置のガンギ車とともに調速。パワーリザーブ50時間。
text:d・e・w
photograph:Kazuteru Takahashi