「フィフティーシックス・コンプリートカレンダー」
「トラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダー」
──ヴァシュロン・コンスタンタン
老舗の新しさ

ヴァシュロン・コンスタンタンの主要コレクションには丸形の「トラディショナル」「パトリモニー」、トノー形の「マルタ」などがある。いずれもこれぞ高級時計という一分の隙もないほど格調高く、それが別格ブランドと呼ばれるゆえんにもなってきたが、一方でどこか近寄りがたい印象を与えることもあった。

そこに昨年登場したのが「フィフティーシックス」である。1950年代のデザインをモディファイしたおおらかで優しげなレトロモダンテイスト。細部へのこだわりや仕上げの品質は変わらないが、デイリーにも使える実用性も併せ持ち、これまでほど垣根の高さを感じさせない身近さで若年層からも支持を得た。今年はよりモダンな印象のペトロールブルーダイヤルのモデルを発表。ラインアップの拡充が図られた。

「トラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダー」/Pt 。ケース径42mm。手巻き。アリゲーター・ストラップ。時価。今秋以降発売予定。ブティック限定販売

ユーザーコンシャスな姿勢で新しい歴史をつくる

機構面での注目作が「ツインビート」。毎時3万6000振動と8640振動という2種のテンプを備え、切り替えが可能な新機構である。技術を誇示するためのプロダクトアウト的な機構かと思いきやそうではない。ブランドCEOのルイ・フェルラの言葉によれば「コンセプトは長時間駆動」だったという。

「永久カレンダーのユーザーから、時計が停止するとすべての表示も止まってしまい、それを直すのが面倒だという声があった。これをきっかけに長時間駆動の開発に着手。ぜんまいを増やせば駆動時間は長くなるが、ケースが大きくなるのは美的に許せない。根本から考え直した結果、二つの輪列を持つ時計に至った」

毎時8640振動のスタンバイモードに設定すれば、65日間以上の持続が可能になったという。

ケースバックはシースルー仕様で、5Hzと1.2Hzの二つのテンプの動きを眺めることができる。コート・ド・ジュネーブ装飾が施された受けやケースにはジュネーブシールの刻印も見て取れる

「Fiftysix Complete Calendar」

月・曜日・日付のカレンダー表示とムーンフェイズ機構を搭載したコンプリートカレンダーモデルの新作。ペトロールブルーのダイヤルをあしらい、それに合わせてストラップもネイビーに変更された。ダイヤルは中央部にオパーリン、外周部分にサンバーストという2種の仕上げを使い分け、インデックスを18KWG製にするなどして高級感を創出。パワーリザーブ40時間。ムーンフェイズは122年間修正不要。

「Traditionnelle Twin Beat Perpetual Calendar」

5Hz(毎時3万6000振動)と1.2Hz(毎時8640振動)の二つのテンプを搭載。2個のぜんまいを備えそれぞれのテンプに動力を送る。パワーリザーブは5Hzのアクティブモード時で4日間、1.2Hzのスタンバイモード時では65日間以上となる。8時位置のプッシャーでモード切り替え、9時位置のインジケーターでモード表示を行う。12時位置に二つのぜんまいの残量計を備える。

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ヴァシュロン・コンンスタンタン


text:d・e・w
photograph:Kazuteru Takahashi