この時計は、こんな男を物語る

・歴史への探究心がある
・発明のストーリーが好きだ
・何より「天才」に憧れる

ブレゲ・スタイルも発明精神の発露

ブレゲの創始者であるアブラアン‐ルイ・ブレゲが考案し、実用化した時計の機構をざっと挙げてみても、ツインバレル、パラシュート衝撃吸収装置、自動巻き機構、クロノグラフ、永久カレンダー、ミニッツリピーター、そしてトゥールビヨン……と、これほどになる。ルイ・ブレゲが活躍したのは懐中時計時代の18世紀末。いまから二百数十年前にすでに一人の時計師が、現代の機械式腕時計に搭載されている複雑機構のあらかたを発明していたのである。天才ブレゲが時計の歴史を2世紀早めたといわれるゆえんだ。

現代のブレゲも技術革新、新機構の開発には余念がない。シリコン素材のひげぜんまいや脱進機、テンプの安定性を保持するマグネティックピボットの発明、ミニッツリピーターのための音響研究の深化など、時計製造の技術分野で最先端を走る。ムーブメントを革新させる新規の考案は、ケースの内部の極小で複雑精密な世界の改変ゆえに目立たず、地味。よほどのプロでなければその真価は伝わらない。成果の賞賛よりも努力量が圧倒的に大きいのだ。けれどもそれをやっていくのが創始者から引き継がれたブランドの遺伝子なのだろう。

さらにルイ・ブレゲの革新性はメカニカルの方面ばかりではない。意匠においてもシンプルで気品があることにこだわり、その時代のデザインを一新した。

ブレゲ針と名付けられた先端がアップル形の針、ブレゲ数字と呼ばれる優美なデザインのアラビア数字などはルイ・ブレゲの発明だが、すでに一般名詞化している。そして何より特徴的なのがケースバンドに施されるギザギザに彫り込まれたフルート装飾、そして伝統的なギヨシェ模様。1786年に初めて使われたというこのギヨシェの技法は多種多様で緻密、美術工芸的な美しさがある。ブレゲ自家薬籠中のデザイン要素である。

今回取り上げた「クラシック 7137」は、このギヨシェの技を全開させた今年の新作。基本クラシカルな趣を、こだわりの紺色「ブレゲ・ブルー」でモダンにリファインした上品で高級感のある逸品だ。メカニカルの先進性だけではない、ギヨシェ技法の集大成がここにある。

ギヨシェ彫りといえばいまや多くのブランドで使われるが、これも懐中時計の視認性を良くするためにルイ・ブレゲの考案した技法。「クラシック 7137」にはパニエ(編み籠模様)、ダミエ(市松模様)、クル・ド・パリ(鋲打ち模様)、そしてチャプターリング外周にリズレ(平行線模様)の4種のギヨシェ模様が使われている。ケース側面にはコインエッジの装飾も
シースルー仕様のケースバックからは、厚さ3.65mmの薄型ムーブメントが見える。オフセンターの自動巻きのローターにもギヨシェ彫り。この装飾への並々ならぬこだわりが垣間見える
「クラシック 7137」。18Kホワイトゴールドケース 。ケース径39mm。自動巻き。3気圧防水。アリゲーター・ストラップ。433万円(税別)
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ブレゲ ブティック銀座
TEL:03-6254-7211

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