この時計は、こんな男を物語る
・理にかなった考えを重視する
・こうと決めたら貫き通す
・これみよがしに主張しない
防水腕時計の歴史はロレックスと共にある
誤解を恐れずに言えば、ロレックスとは「堅気」なブランドである。どの時計を見ても外観はオーソドックスで、奇抜さやこれみよがしなデザインとは無縁だと言っていい。トゥールビヨンやミニッツリピーターなどの複雑機構で技術力をひけらかすようなこともない。にもかかわらず、スイス高級時計を代表するブランドの一つであり続けているのは、腕時計に求められる精度・性能に真正面から向き合い、実用腕時計開発の先端を走り続けているからだ。
こうした実用本位の時計づくりはプロフェッショナルの使用にも耐え得るスポーツウォッチに色濃く、中でもダイビングウォッチの「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」はその好例である。そもそも近代的な防水腕時計の歴史は、ロレックスが1926年に発表したオイスターケースに端を発する。金属の塊からくり抜かれてつくられたオイスターケースは優れた防水性能を備え、特許を取得。ロレックスの代名詞的ケースとなっていった。
その後、1950年代になると海洋探検の機運が高まり、人々の目が海へと向き始めた。1953年、まさにそんなときに「サブマリーナー」は誕生した。ロレックスは数々のダイバーたちと協同で実験を行い、水深100mまでの防水性能を備えた初のダイビングウォッチを実用化したのである。さらに翌年には早くも防水性能が200mに向上し、1980年代には300mへと至った。
そして今年、その最新モデルが発表された。既存モデルを知る人からすれば、どこが変わったのか一見わからないだろう。見た目の変化はケース径が1mmアップして41mmになり、ラグの幅がわずかにスリムになった。最大の進化は内部機構にある。ロレックスが「新世代ムーブメント」と位置づける高性能のムーブメントが搭載され、ケーシング後の精度は日差±2秒、パワーリザーブが約48時間から約70時間へと大幅アップし、耐磁性や耐衝撃性も向上されている。
腕時計に限らずとも、基本的な性能を向上させる開発は、手間ひま、資金を要するわりに、この上なく地味だ。見た目ではわからないものがほとんどである。だが、使えば使うほどに価値が実感できるものでもある。そうした実用性をかたくなに追求し続けるのがロレックスであり、言い換えれば実のない進化には目もくれないのがこのブランドである。ブレることのない一貫した時計づくりがロレックスの地位を不動のものにし、王道を求める男たちを引きつけてやまないゆえんだろう。
問い合わせ情報
日本ロレックス
TEL:03-3216-5671
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