Editor's Note
一般ユーザーからの人気は言うまでもないが、時計関係者からも一目置かれるブランドがロレックスである。その理由は時計の実用性を高める有意義な開発の数々にある。近年は時計の心臓部であるエスケープメント(脱進機)やヘアスプリングなどの改良にも取り組み、耐磁性や耐衝撃性を向上させた。2015年に再定義した自社の精度基準、ロレックス高精度クロノメーターは、日差±2秒以内の高い精度に調整されている。またアフターサービスの体制も業界最高水準であり、そうした一つ一つの実直な取り組みが、信頼の実用腕時計ブランドという地位を確固たるものにしている。
Brand History
1905年、ハンス・ウイルスドルフが24歳でロンドンに時計販売会社を設立。ウイルスドルフは懐中時計が主流だった時代から腕時計の構想を描き、どの言語でも発音しやすく、人々の記憶に残り、さらにムーブメントとダイヤルに刻印した際にも美しく見える名を探し求めてロレックスというブランド名を考え出した。腕時計は美しさのみならず信頼性が重要になると予見した彼は、草創期からムーブメントの品質向上に注力し、1910年には腕時計として初めてCOSC(スイス・クロノメーター検査協会)からクロノメーターの公式証明書を獲得。20年にはジュネーブにモントレ・ロレックスSAを設立。26年に防水性と防塵性を備えるケース「オイスター」を、31年には独自の自動巻きメカニズム「パーペチュアル」ローターを開発。腕時計の実用性向上に多大な功績を残した。その後も午前0時に日付が切り替わる「デイトジャスト」機構のほか、防水性や耐磁性の向上に寄与する画期的な開発を続ける。
2000年代になるとケースやムーブメントの性能を高める新素材の開発に着手し、2005年には耐傷性に優れ、紫外線の影響を受けにくいセラクロムベゼルを開発、特許を取得。また、同年にブルー パラクロム・ヘアスプリングを開発。常磁性合金を使用し、磁力に対する耐性と標準の10倍もの耐衝撃性を実現した。15年にはこのヘアスプリングと、同じく独自開発のクロナジー エスケープメントなどを備えたキャリバー 3255を新世代ムーブメントとして発表。そして同年、時計製造業界よりも厳しい自社の性能基準を再定義。COSCの公式認定後、ケーシング後のムーブメントに行われる自社内の一連の検査にパスした時計にロレックス高精度クロノメーターの称号が与えられる。