ショパールの実力をいやが応でも認めさせたクアトロの技術
ショパール マニュファクチュールが今年、設立25周年を迎える。記念の新作モデルは「L.U.C クアトロ スピリット 25」。同マニュファクチュール初のジャンピングアワーである。トゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、そしてミニッツリピーターなどの複雑時計はそれぞれL.U.Cならではのユニークな機構を組み込んで、着実に歩を進めコレクションを構築してきた。そして今回の新作である。これもいかにもL.U.Cらしい。
一般にジャンピングアワーは時表示用の回転ディスクが多大なエネルギーを消費するために、長時間のパワーを保持するのは難しい。そこで、ショパールといえばクアトロ、というほどの十八番である超ロングパワーリザーブのクアトロを駆使。190時間以上のパワーリザーブを確保している。むろんジャンピングアワーモデルは他ブランドにもあり新しくはない。ただ後塵を拝することをせず、それを凌駕するのがL.U.C流だ。
ショパール マニュファクチュールの25年は1996年に発表された自社製キャリバーL.U.C 1.96(現L.U.C 96.01‐L)に始まる。ツインバレル、マイクロローター式の自動巻き。第1作目からCOSC認証とジュネーブシールを二つながら取得。高精度、高品質の高級機のトップゾーンに立っていた。ジュエリーウォッチブランドの認識しかなかった多くの時計専門家の驚きようは半端ではなかった。4年後、時計業界に再び衝撃が走る。「L.U.C クアトロ」の発表である。
クアトロはその名が示唆する通り、2重香箱を2列、すなわち4重香箱を搭載して、約9日間の超ロングパワーリザーブを実現した画期的な時計だった。香箱が4つなどという例はどこにもなく、その後のパワーリザーブ競争ののろしとなった。ショパールの技術力を見せつけられた業界のショパールを見る目が完全に変わった。
25周年のアニバーサリーモデルとしてクアトロにスポットを当てるのも、業界に与えたインパクトの大きさからしてもふさわしい。
L.U.C クアトロ スピリット 25は、4つの香箱を備えるというほかに類を見ない仕組みで、通常216時間のロングパワーリザーブを確保する高性能ムーブメントをベースとしたL.U.C 98.06‐Lを搭載。ジャンピングアワーで使用する場合、パワーリザーブは最長8日間。一般的に時表示のディスクの回転に大きなエネルギーを消費するため。時表示は6時位置の小窓で。L.U.Cに特徴的なドーフィンフュゼ針で分表示を行う。
text:d・e・w
photograph:Kazuteru Takahashi