服装や気分に合わせてストラップの付け替えが可能
このところダイビングウォッチが元気だ。ダイビングウォッチとはもともと海へと潜るダイバー向けにつくられた機能時計であり、高い防水性や暗闇での視認性、経過時間を計測するための機能など、さまざまな条件をクリアしたものだけがダイビングウォッチと名乗ることができる。実用本位から生まれた時計ではあるが、そのツールとしての格好良さや大胆なデザインが時代の空気と合っているのだろう。ダイビング好き、海好きのための時計という領域を超えて、力強さやアグレッシブさといった個性を示すスタイルシンボルとしても受け入れられている。
じつはダイビングウォッチは、防水性や耐久性といった性能面での進化はほぼ成熟しており、どちらかといえばデザイン面での開発が主流になりつつある。今年も、各ブランド各様のオリジナリティーをまとったモデルが多く登場しているが、中でも注目したいのがオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」である。
「ロイヤル オーク」といえば、1972年に誕生した時計好きの間ではつとに知られたコレクション。端的に言えば、クラシックウォッチのエレガンスとスポーツウォッチのアクティブさを融合させ、ラグジュアリー・スポーツというスタイルを打ち立てた草分け的な存在である。そのロイヤル オークのデザインをよりパワフルに再構築したモデルが「ロイヤル オーク オフショア」で、さらにそこから派生したダイビングウォッチが「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」となる。
そのニューモデルの魅力は、何といってもこのカラーだ。ダイビングウォッチは視認性や力強さを特徴とするため、ホワイトやオレンジ、イエローといったビビッドなカラーをあしらったモデルが多い。そこに今年、オーデマ ピゲが発表したのが、ややスモーキーなカーキ、グレー、ブルーという落ち着いた3つのカラー。ファッションの世界ではアースカラーが一つの潮流となっているが、そうした服装との相性も絶妙で、手元だけが悪目立ちすることはない。
そしてもう一つの大きな特徴が、クイックチェンジのストラップ交換システムが備わったことだ。特別な工具を用いることなく簡単にストラップ交換が行えるようになった。このモデルには、ダイヤルカラーと同色のラバーストラップのほかにブラックのラバーストラップが付属し、さらに別売りのカーフストラップに付け替えることも可能。アウトドアやリゾートといった自然の中からシティユースまで服装に合わせて着け回せるはずだ。
最後になったが、内部のムーブメントも新開発のキャリバー4308へと刷新された。特許取得の設定メカニズムを備えるとともに、機能調整時の安定性と精度が向上された。けっして派手ではなく地味な開発だが、細部にまで改良を重ねるウォッチメーキングはやはり高級時計の名門である。
text:d・e・w