ロングライフの普遍性と現代性を巧みに両立。航空用クロノグラフの名作から日本だけの特別モデル［空から生まれた名作時計#6］

ダイヤル上の微細な目盛りや3つ目のカウンターは計器のようなツール感があり、その一方でマザー・オブ・パール（真珠母貝）のダイヤルやライトグレーとゴールドの配色、そしてポリッシュとサテンの仕上げが施された7連のブレスレットには上品さが薫る。空を駆けるアクティブ感と現代的なエレガンスをこれほど巧みに両立したパイロットウォッチはそう多くない。今回取り上げるブライトリングの「ナビタイマー B01 クロノグラフ 41 ホワイト マザーオブパール ジャパン エディション」のことだ。

「ナビタイマー」とは、パイロットが必要とするさまざまな航法計算を行うことができる回転計算尺が付いたコレクションで、誕生から70年以上にわたり受け継がれるロングセラーである。ブライトリングでは数年おきに日本限定のモデルを発表しているが、このモデルはその今年の新作となる。

デザインの洗練度もさることながら、クロノグラフにかけては一日の長があるブライトリングである。内部機構の性能の高さも見逃せない。クロノグラフ機構にはコラムホイールと垂直クラッチという信頼性に優れたシステムを採用し、自動巻きのローターは効率の良い両方向回転式、さらにパワーリザーブは70時間という長時間を確保している。ブライトリングは全てのモデルでCOSC認定を取得するが、日本限定モデルといえどもその例に漏れない。精度や信頼性の高さは第三者機関のお墨付きである。

クロノグラフの原型は懐中時計の時代の19世紀前半に考案されたもので、20世紀初頭になると腕時計クロノグラフの開発が盛んになる。その中心的役割を担ったのがブライトリングである。創業者の子孫たちはストップウォッチ付きの腕時計やリセットボタンを開発し、クロノグラフ製造で名声を得る。

そして航空用クロノグラフの第一人者としての地位を獲得する契機となったのが、回転計算尺付きクロノグラフ、すなわちナビタイマーだった。1952年に最初のモデルを発表すると、その2年後には世界最大のパイロットクラブである国際オーナーパイロット協会（AOPA）の公式タイムピースに選ばれた。ナビゲーション・タイマーに由来したナビタイマーというネーミングで、以降、現代に至るまで航空業界の人々をはじめミュージシャンやクリエーター、カーレーサーなどに愛用されてきた。

ロングライフなプロダクトには、時代に左右されない普遍的な個性が必ずある。と同時に、社会やライフスタイルの変化に合わせたエステティクスを携えていなければならない。時代時代の空気を敏感に感じ取り、モディファイし続けてこそ歴史が育まれるからだ。今回取り上げたナビタイマー B01 クロノグラフ 41 ホワイト マザーオブパール ジャパン エディションは普遍性がありながら現代性もあり、まさにその好例と言っていい。“空から生まれた名作”としてセレクトしたゆえんである。