“顔”を変えられるのはレベルソならでは

感性豊かな大人に贈る「目利きのためのペアウォッチ」、今回セレクトするのはスイスのファインウォッチメーカー、ジャガー・ルクルトの「レベルソ」である。レベルソは1931年に誕生して以来、90年以上にわたって親しまれる高級時計界きってのロングライフなコレクション。その理由を端的に述べるなら、完璧なアールデコスタイルと称されるほどの美しいクラシシズムと、そして2つの顔を携えることができる反転式ケースのユニークさにあると言っていい。

まず、女性向けには「レベルソ・クラシック・スモール・デュエット」をセレクトした。最大の特徴は、この1本で2つの異なる表情を楽しめることだ。ケースの表面はシルバーグレーのダイヤルにブラックのアラビア数字インデックスを配したオーセンティックな顔つきで(トップ画像参照)、ひとたびケースを反転すると、艷やかなブラックダイヤルにゴールドの針やインデックスを配し、ケース上下にダイヤモンドをセットしたきらびやかな表情を見せる。オンタイムは表面で着用し、仕事後の夜会や週末は裏面に、などと使い分けることができる。ちなみに、表裏の時分針を動かしているのは1つのムーブメント。両面ダイヤルを備えながらケースを8.7mmの薄さに抑えているのは、機械技術に長けたジャガー・ルクルトの面目躍如である。

時計
トップ画像の右の時計は、ケースを反転させると顔つきが一変。2針のシンプルウオッチだが、オパーリン仕上げやサンバースト状のギヨシェ装飾、そしてゴールドの針やインデックスをあしらったダイヤルは優美で華やかだ。「レベルソ・クラシック・スモール・デュエット」。18Kピンクゴールドケース。ケースサイズ34.2 ×21mm。手巻き。3気圧防水。アリゲーターストラップ。341万円(税込)

続いて、男性向けに選んだのが、女性向けモデルの表面と同じシルバーグレーダイヤルを備えた「レベルソ・トリビュート・スモールセコンド」である。ケースの表面は、サンレイ仕上げの文字盤、斜面で構成されたドーフィン針やバーインデックス、レイルウェイ式の分目盛りなど、レベルソ特有のクラシシズムがシンプルに楽しめる。一方、ケースの裏面にはダイヤルがなく、表面からシームレスにつながるように18Kピンクゴールドで覆われている。このフラットな裏面には、オプションでイニシャルや日付、モチーフなどを刻印することができる。大切な人や日付を留めておくのに格好であり、自分だけの1本にパーソナライズできるのも満足感が高い。

時計
ケースを横にスライドさせて反転させることができるのがレベルソの大きな特徴。このモデルのストラップは、ポロ競技用のブーツ製造を手掛けるカーサ・ファリアーノ製。ストラップの付け替えは工具不要で容易に行える。「レベルソ・トリビュート・スモールセコンド」。18Kピンクゴールドケース。ケースサイズ45.6×27.4mm。手巻き。3気圧防水。レザー×ファブリックストラップ(アリゲーターストラップが付属)。332万2000円(税込)

いざペアウォッチと決めても、何を選ぶかという悩みが残る。時計1本でさえ悩ましいところ、ペアとなればその組み合わせは無限大だ。今この一時だけで選ぶなら自分たちの気分に従えば良いが、数十年という単位で考えるならば話は別。その最適解の1つと言えそうなのが、“時計専業メーカーのクラシック”である。

ジャガー・ルクルトの歴史は、1833年にムーブメント工房を創業したことに端を発する。ムーブメントを自社で作る時計に載せるだけでなく、数々の一流ブランドに供給してきた歴史も持つ。サプライヤーとしての評判の高さは、すなわち機械の信頼性の高さである。その自負からか、現在は販売する時計に最大8年間という業界最長クラスの国際保証を付与している。仮に不具合が生じても、よほどの状態でない限りは修理不能ということもない。パートナーの機嫌を損ねる事態に発展する可能性も極めて低いだろう。

もう一つのポイントがクラシックである。クラシックなデザインは時代による流行り廃りが小さく、その美しさは普遍である。時流に左右されずに着用できるデザインは、「いつまでもよろしく」というメッセージを代弁してくれそうだ。さらに付け加えると、90年以上も受け継がれてきたレベルソであれば、この先、子や孫の世代だって無理なく着用できるだろう。今の2人の関係性を時計に残し、それを受け継いだ子や孫が時計を着用するたびに家族の絆を思う。1組のレベルソから家族のストーリーが始まる。こんな素敵な未来が思い描けるペアウォッチは、そうそうない。

問い合わせ情報

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ジャガー・ルクルト
TEL:0120‐79‐1833

photograph:Kazuteru Takahashi
edit & text:d・e・w