これほど洗練されたフルゴールドは類例がない

機械式時計の世界に足を踏み入れたら、まず手にするのはステンレススティール製やチタン製の腕時計だろうか。憧れだった機械式時計を何本か所有し、日常的に着用するようになると、それまでは目を向けなかった時計が次第に気になってくる。例えば18K(18金)のゴールドをまとった腕時計である。

ステンレススティールやチタンにはない優美さがあり、その1本で手元が見違えるほどの華やかさがあり、そして永続的な価値という点でも他の素材と一線を画す。ゴールドの腕時計には確かに無二の魅力があるが、その半面、華やかすぎて服装に合わせにくく、特にオン・ビジネスではいかにも羽振りが良さそうに見えてしまい着けにくい側面があった。

だが、近年はそうした不安を解消するようなゴールドウォッチが登場している。今年特に目を引いたのが、オーデマ ピゲの「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク」。ブレスレットまで18Kのフルゴールドの時計でありながら、ご覧のように華美な印象はなく、むしろ軽やかに洗練されたコンテンポラリーな印象が漂う。それは、この時計の外装にオーデマ ピゲが独自に開発したサンドゴールドという18Kが用いられているからだ。

時計
オーデマ ピゲの独自合金、18Kサンドゴールドを用いた「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク」。ピンクゴールドとホワイトゴールドの中間のような色みが軽妙で、経年変化が生じにくいという特性も持つ。ケース、ブレスレットは18Kサンドゴールド。ケース径41mm。自動巻き。5気圧防水。価格は要問い合わせ
時計内部
内部に搭載するのはフライングトゥールビヨンを備えたキャリバー2972。デザインされたオープンワーク、建築物のような立体的な構造、ポリッシュとサテンの仕上げ分けなど、丁寧な作り込みに目を奪われる
時計
サンドゴールドは金に銅とパラジウムを加えた18K。オーデマ ピゲ初のオリジナルのゴールドだが、同社のゴールドウォッチ製造の歴史は長く、ブレスレットの装着感は申し分ない

改めて述べると、ゴールドは金の含有率によって24分率で表され、24K(100%の純度。厳密には99.9%以上)を最高純度に、22K、18K、14Kなどと記される。腕時計の外装に使われるのは主に18Kで、75%(24分の18)の金を含む合金となる。残りの25%にどんな素材を加えるかで18Kの色みや硬度、性質が変わり、近年はその素材を独自にアレンジしたオリジナルの18Kを発表するブランドも少なくない。

オーデマ ピゲが今年発表した18Kサンドゴールドは、75%の金に銅とパラジウムを加えたものだという。ピンクゴールドの華やかさを少し抑えて、そのネーミング通り、陽光を受けて輝く砂丘のような色みを創出した。ゴールドの優美さに加えてアースカラーのようなニュアンスもあり、あらゆる服装に合わせやすい絶妙なカラーに仕上がっている。

そしてもう1つ、軽やかな印象に寄与しているのがムーブメントである。ムーブメントのプレートやブリッジにオープンワークを施してスケルトン化し、それらのパーツもサンドゴールドの色みに統一、さらに6時位置にはキャリッジが宙に浮いたように見えるフライングトゥールビヨンが備わる。

18Kサンドゴールドが織り成す全体の印象もさることながら、抜け感のあるスケルトンムーブメントの中でキャリッジが回転する様は、眺めるたびに軽快な気分になりそうだ。オーデマ ピゲの時計は少量生産故に依然として入手困難な状況が続くが、幸運にも入手できたなら、暑さ厳しい夏場のビジネスも少しばかり気分が上がる。

ショパール ジャパン プレス

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オーデマ ピゲ ジャパン
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photograph:AUDEMARS PIGUET
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