端正さも色気も遊び心も、ちょうどいい
ロレックスは今年、ブランド初の防水ケースを備えた腕時計「オイスター」の誕生から100周年を迎えた。アニバーサリーといっても必要以上に騒ぐことなく、冷静に淡々としているのがロレックスの品格だが、今年の節目はやはり光を当てざるを得ない。オイスターはブランドにとっても、そして腕時計の進化にとっても非常に重要なモデルであるからだ。この節目を記念して、ロレックスにしては珍しく記念モデルが発表された。
その記念モデルに選ばれたのは、日付や曜日表示がない「オイスター パーペチュアル 41」である。時刻を表示するという腕時計の基本形に立ち戻ったかのような中3針のシンプルウォッチでありながら、やや丸みを帯びたドームベゼルにイエローゴールドを用い、時分針やインデックス、そしてリュウズを18Kイエローゴールド製にするなどの趣向で程よい華やかさを演出。アクセント的に用いたシンボルカラーのグリーン、6時位置外周部の「100 YEARS」のプリント、リュウズトップの「100」のあしらいなど、ディテールでさりげなく特別感を創出するセンスが何とも心にくい。




さて、この記念モデルのネーミングには、オイスターの他にパーペチュアルというワードが使われている。オイスターは防水ケースと述べたが、パーペチュアルとはロレックスでは自動巻き機構のことを指す。ロレックスの歴史は実用腕時計の歴史と言っても過言ではないほど、これら二つの発明がその発展に与えた影響は大きい。
20世紀初頭、新しく登場した腕時計というツールは人々の関心を集めたが、まだ日常的な使用に十分耐え得るものとは言い難かった。懐中時計に倣ったケース構造、とりわけ引き出し式のリュウズでは、水やほこりの侵入を防ぐことが難しかったからだ。その弱点を克服したのが1926年発表のオイスターである。ベゼル、ケースバック、そしてリュウズの全てをミドルケースにねじ込む特許構造で、防水ケースを実現。現在も用いられるねじ込み式リュウズや、スクリュー式ケースバックの原型といえる仕組みである。
だが、ここで新しい問題が生じる。当時の腕時計はほぼ全てが手巻き式である。ねじ込み式リュウズを採用すると、ぜんまいの巻き上げを行う際に都度リュウズのねじ込みをほどかねばならず、面倒極まりない。この不便さが解消されたのが1931年。この年、ロレックスはローターの回転でぜんまいを巻き上げる自動巻き機構のパーペチュアルを発表。これら二つが結びつくことで「オイスター パーペチュアル」というロレックスの基幹思想が形づくられていった。
オイスターがなければ腕時計の普及はもっと遅れていたかもしれない。パーペチュアルがなければオイスターの真価を十分に享受できなかったことだろう。両者のシナジーこそがロレックスの信頼性を高め、機械式腕時計をより実用に即したツールへと押し上げたのである。
最後になったが、そのオイスターの誕生から100年後の今年、ロレックスの信頼性を一段と高めるトピックが発表された。ロレックスの自社品質基準である高精度クロノメーター(Superlative Chronometer)の厳格化である。これまではケーシング後の腕時計完成品に対して、精度、防水性、自動巻き、パワーリザーブに関する検査項目が設けられていたが、今年からはこれらに加えて耐磁性、信頼性、持続可能性という3つの基準が導入されるという。ロレックスの歴史とは、これからも実用追求の歴史であり続けるようだ。


問い合わせ情報
日本ロレックス
TEL:0120‐929‐570
photograph:ROLEX
edit & text:d・e・w
