Editor's Note

主要コレクションの「ブルガリ・ブルガリ」や「オクト」に見られる大胆かつエレガントなデザインには、イタリアの名門ジュエラーらしい前衛的な感性が宿る。さらに特筆すべきは今世紀に入ってからの時計製造体制の充実ぶり。スイスでも名の知れたダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタという2つの高級時計ブランドと外装や文字盤のメーカーを傘下に収め、ムーブメントの内製化を始め、複雑機構や薄型ムーブメントの製造、そして新素材の研究開発まで、時計専業メーカーに肩を並べる開発力を有している。

創業年
1884年
創業地
イタリア ローマ
拠点
イタリア ローマ

Brand History

1884年、ギリシャの銀細工職人ソティリオ・ブルガリがローマに高級宝飾店を開く。ソティリオはギリシャ建築をモチーフに先進的な技術を取り入れて独自のスタイルを確立。20世紀初頭には、当時フランスから世界に伝播したアールデコやアールヌーヴォーにインスパイアされたジュエリーを製作するものの、徐々に創業時のスタイルへと回帰。東洋文化に影響を受けたカラーストーンを使ったジュエリーで人気を博した。20世紀半ばには豊かな色彩と贅沢なボリューム感を持った独創的なジュエリーで、世界的な女優やファッショニスタを魅了。そうした人気をもとに20世紀後半にはジュエリー以外への分野へも進出し、1970年代には高級時計の製造を開始する。
1975年にデジタル式の「ブルガリ・ローマ」を100本限定で製造し、2年後の77年にはベゼルにブランドロゴをあしらった「ブルガリ・ブルガリ」を発表。現在まで続く基幹コレクションとなる。80年にスイス・ニューシャテルに時計製造専門の会社を設立すると、スポーティーな「ディアゴノ」、ラバーやアルミニウムを使った「アルミニウム」などを創作する。さらに2000年のブルガリ グループ設立を契機に、特殊なメカニズムを得意とするスイス時計ブランドのダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタを傘下に収め、その後さらにダイヤル、ブレスレット、ケースの製造工場を次々とグループ化。わずか十数年のうちに自社グループ内ですべての時計製造が行える体制を築き上げた。2010年には初の自社製ムーブメントが完成し、12年には新しい柱として「オクト」コレクションを発表。そのほかトゥールビヨンやミニッツリピーターといった複雑機構の薄型化や、新素材の開発にも意欲的に取り組んでいる。