Editor's Note
ヒッキー・フリーマンのスーツにおける魅力は、何といっても手仕事が生み出す、優れた着心地にある。ソフト・テーラーリングと称される仕立てを伝統としており、肩や胸、首回りといった人体の丸みに優しく沿う縫製を創業以来100余年にわたり貫いているのだ。ミシンも併用するが、曲線や負荷のかかる部分などは芯地や裏地が表地に馴染むよう強弱をつけた手縫いを多用。絶妙なやわらかさを持つ仕立てこそ、ヒッキー・フリーマンの真骨頂である。
Brand History
ジェイコブ・フリーマンとジェレミア・ヒッキーにより創設された紳士服工房がその源流。“Keep the quality up(絶えざる品質の向上)”をモットーに掲げたヒッキー・フリーマンのスーツは、やわらかな着心地とルックスを備えていたことから、着こなしにうるさいニューヨーカーから絶大な支持を獲得した。創業直後から、生地作りから縫製までを一貫生産する体制を構築していた同社は、第1次世界大戦後や大恐慌時代にも品質を落とさず製品を作り続けることができた。その絶大な信頼性から、アイゼンハワー大統領をはじめポール・ニューマン、ビング・クロスビーといったセレブリティーも、その顧客リストに名を連ねた。アメリカントラッドの一角を担うブランドとして世界的に広く知られる名門は2018年、日本上陸35周年を迎えた。