ファッションディレクターの青柳光則さんに、ビジネスシーンにふさわしいエグゼクティブのスーツの着こなしを提案してもらう当特集。4回目は、行動的な都会派アメリカンの雄Brooks Brothersのスーツを取り上げる。
普段はメールでやり取りしている相手を訪ねる出張では、気を引き締めて向かいたいもの。ピシッとしたスーツ姿であれば、クライアントにとっての安心と信頼にもつながるはずだ。
国内のみならず近隣諸国への短期出張には、できるだけ身軽なスタイルで出かけたい。鞄は仕事用の書類とタブレット、そして着替えを持ち歩けるオーバーナイターバッグを機内持ち込みにするのがいい。新幹線など鉄道で移動するときも、スーツケースよりはるかに身軽で便利だ。
荷物になる訪問時のスーツも着用したまま搭乗すれば、空港からタクシーで客先に直行できる。とはいえ移動時間が長いほど、スーツのシワが気になるもの。だが、高性能の機能性素材スーツならそんな心配は無用だ。
ブルックス ブラザーズの「ブルックスクール」はイタリアの大手ファブリックメーカー、レダ社と共同で、高温多湿な日本のために開発された機能性素材。その高い性能が支持されて、いまや世界中のブルックス ブラザーズで展開されている。この手の機能性素材は化繊を使うことが多く、生地の質感に乏しいものが少なくない。ところが「ブルックスクール」はウール100%。天然素材の風合を損ねずに機能性を付加しているため、見た目はもちろんのこと、着心地にも手触りにも高級感があり、エグゼクティブのビジネススーツとしての品格を有している。
出張時の長時間移動でもシワになりにくく、多少座りジワがついてもアイロンやスチーム不要で回復する。撥水性と通気性を兼ね備え、ふいの雨や泥跳ね汚れにも強い。しかも軽量で適度な伸縮性を備えているため着用時のストレスも少ないとくれば、出張時に限らず、普段でも外出の多い日などに着用したいスーツなのである。
アメリカントラッドの伝統に最新の技術をプラス
マイクロ柄のスーツに細かなドットが並ぶドビー織りの白シャツを合わせ、ネクタイは小紋柄を合わせたスポーティなVゾーン。グレースーツに合わせて、ネクタイもグレーベースにすることでモダンな印象を高めている。タイの柄をよく見ると、ブルックス ブラザーズのブランドロゴ「ゴールデン フリース」が描かれており、これを知る人はきっと気づくだろうし、知らない人も可愛らしい柄使いに微笑むはずだ。
上品な艶が浮き上がるブルックスクール生地は、さまざまな機能が備わっているとは思えないほど自然な風合いが特長。遠目にグレー無地に見えて、その実マイクロ柄の織り柄が入っているこの生地は、単色のグレーより生地に立体的な奥行きを与えるため、スーツ姿は優雅さを増す。
ブルックス ブラザーズとイタリアの生地メーカー、レダ社が共同開発したブルックスクールは、もともと高温多湿な日本の夏に向けた生地として開発されたもの。イタリアメイドのウール100%。従来よりも軽量で通気性に優れ、シワになりにくく雨など水を弾くうえ、適度な伸縮性もあってノンストレス。軽旅行や出張に最適なスーツ生地だ。
ファッションディレクター青柳光則からワンポイントアドバイス
「多くのスーツ専門ブランドから機能性素材のスーツが登場していますが、エグゼクティブが着られるレベルのスーツがあるかと言えば、さにあらずというのが正直なところ。しかしブルックスクールのスーツなら納得が行くはずです。なにしろイタリア有数の生地メーカーが、ブルックス ブラザーズと共同開発しただけに、見た目には機能性素材だなんてわからないほど高級感ある生地ですから。シルエットもモダンですし、ビジネスに使いやすい色柄もそろっています。今年創立200周年を迎えたブルックス ブラザーズの幅広いコレクションを実感できます」
styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
photograph:Ryohei Watanabe
hair & make:Akira Nishihira
model:Kenji Kureyama(BARK IN STYLE)
edit & text:Yasuyuki Ikeda(zeroyon)