ファッションディレクターの青柳光則さんは「ただいつも着ているスーツの上着を脱いで、ネクタイをはずすだけの間違えた着こなしが定着しては本末転倒」と指摘する。涼しい装いをするならば、ジャケットやシャツの素材、上着を脱いだときのパンツのシルエットにも気を配りたいもの。【夏のスタイル】と題して、青柳さんにお薦めのアイテムを選んでもらった。

レトロファブリックの涼感で夏を乗り切る

ジャケット12万円、シャツ2万4000円/ともにアクアスキュータム

トレンチコートで知られるアクアスキュータムだが、ビジネスウェアの幅広いコレクションにも定評がある。なかでも盛夏を快適に過ごすためのビジネスライン「ワイト」シリーズは、高温多湿な日本のビジネスマンにうってつけだ。同シリーズにはいくつか種類があるが、いずれも撥水性、通気性、ストレッチ性、防シワ性、そして軽量性という5つの要素から複数の機能を兼ね備えており、シーンや用途にあわせて選ぶことができる。

今回取り上げたのは、見た目にも涼しげなウール×シルク×リネンを混紡したスラブメッシュのジャケット。織り感からくるドライなタッチが爽やかだ。ニットを思わせる伸縮性もあるため防シワ効果もある。スポーティな雰囲気が漂うことから、オンのジャケットとして着用すれば、気さくで話せる上司といった印象を演出できるだろう。

スラブ糸の織り感とパッチポケットでカジュアルに

シルクとリネンの混紡素材であるスラブメッシュは夏向きの素材
パッチポケットは、カジュアル感を演出するディテールだ

ウールをベースにシルクとリネンを混紡したスラブメッシュ素材。白浮きしているのがスラブ糸だ。スラブ糸とは、糸の撚りにムラがあるため太いところと細いところがあるものをいう。レトロな印象がありながら、生地の表情に味わいが生まれる。スラブ糸を織り上げると表面に自然な風合いの凸凹が生じる。そのため素肌に張り付きにくく、通気性を確保できるので夏向き素材に適しているといわれるのだ。

また、こちらのジャケットにはパッチ式(貼り付け式)のポケットを採用している。パッチポケットはカジュアルウェアの代表的なディテールで、少しくだけた印象がある。そのためネクタイをしない夏のビジネススタイルにも合わせやすいのだ。

問い合わせ情報

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▼ジャケット/シャツ
アクアスキュータム(レナウン プレスポート TEL:03-4521-8190)

styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
edit & text:Yasuyuki Ikeda(Zeroyon)
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)