ファッションディレクターの青柳光則さんは「ただいつも着ているスーツの上着を脱いで、ネクタイをはずすだけの間違えた着こなしが定着しては本末転倒」と指摘する。【夏のスタイル】と題して、青柳さんにお薦めのシャツを選んでもらった。

ターンブル&アッサーは、創業130年を超える英国王室御用達の証“ロイヤルワラント”ホルダーである。ロイヤルウェディングで話題となったヘンリー王子が婚約発表の記者会見で着ていたシャツもこのブランドのもの。また、映画007シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドのシャツを作っていたことでも知られている。芯地がしっかりとした衿羽根の、いかにも英国らしいパリッとしたシャツが多くの紳士を魅了し続けてきた。ジャケットを脱ぎ、シャツ一枚で着ても端正に見え、凛々しさを演出できるのだ。

シャツ3万7000円/ターンブル&アッサー

有名な“ターンブルカット”とも呼ばれるターンブル&アッサー独自の衿型は、衿の奥から先にかけてのラインが、緩やかなS字を描くのが特徴で、ジャケットを着たときに衿羽根がハネにくくする工夫だ。もちろん、この他にも多彩な衿型をそろえているが、いずれも気品溢れるドレスシャツの衿型といっていいだろう。

また、生地は「生地の宝石」との異名を持つトーマス・メイソン社の中でも最上級ものが主で、洗ってもパリッとした生地感が持続する。この極上のハリ感と肌触りが、夏のビジネスマンをスマートに見せてくれるのだ。

衿元と袖口、細部に英国紳士の品格が宿る

第1ボタンと第2ボタンの距離が近く、襟元が広がりすぎない
袖のボタンが3つ。エレガントを感じさせるビスポークでよく用いられるディテールだ

ノータイで第1ボタンを外したときに、衿元の開きが小さいことが分かるだろう。これは第2ボタンの位置が高いからこその上品な見え方だ。袖口のボタンが3つ並ぶのも、このブランドのハウススタイル。どちらも素肌を露出することを好まない英国ならではのディテールといえるだろう。

問い合わせ情報

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▼シャツ
ターンブル&アッサー(ヴァルカナイズ・ロンドン TEL:03-5464-5255)


styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
edit & text:Yasuyuki Ikeda(Zeroyon)
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)