ファッションディレクターの青柳光則さんは「ただいつも着ているスーツの上着を脱いで、ネクタイをはずすだけの間違えた着こなしが定着しては本末転倒」と指摘する。【夏のスタイル】と題して、青柳さんにお薦めのシャツを選んでもらった。

イタリアのシャツは、手仕事を多用することで、ふんわりと軽い着心地に仕立てられている。その軽さは見た目にも表れ、見た目にも優しげな印象が漂う。“ナポリ最高峰”との呼び声が高いルイジ ボレッリのシャツに袖を通せば、すぐに実感できるはずだ。表地、衿、カフスともに柔らかな芯地が使われていて、体を締め付けることがなく、じつに軽い。夏向きの素材のジャケットとも相性がいい上、シャツ一枚でも個性のあるスタイルを作れるのがナポリシャツらしさといえるだろう。

シャツ3万6000円(税別)/ルイジ ボレッリ

衿型は、南イタリアの男たちが好むワンピースカラー。くつろいだリゾートシャツを思わせる衿元は、衿羽根と身頃を繋ぐ台衿がなく1枚の生地でつながっているため、衿の折返しがふんわりとロールを描くように返るのが特徴。それが、カジュアルな雰囲気でありながら上品さも保ってくれる秘密だ。ゆえにオフィスでも違和感なく着られるのである。ある年齢とポジションに達したなら、ポロシャツを着たい気分のときにあえてナポリシャツを羽織る。それでこそ仕事のできる伊達男の着こなしだ。

ナポリの粋が感じられる、ディテールとは?

ふんわりとロールする衿がワンピースカラーの特徴だ
写真の下半分にはステッチが見えるが、上半分には縫い目がないのがわかるだろうか

第1ボタンを開けるとふんわりと衿が返るワンピースカラー。ちなみにボタンを閉じてタイドアップすることもできるので、急な来客などにも対応できる。

ブラケットは折り返しが後ろにある裏前立て仕様だが、よく見ると折り返した部分をまつり糸で留めているのはシャツの下半分まで。上半分は表地を折り返しただけで縫われていない(上記写真参照)。これによりフロントにステッチを立てないことでドレッシーな印象になり、ジャケットを羽織れば、シャツの前立てのステッチが隠れるようになっている。ここまで見え方にこだわっているシャツは、ナポリならでは。シャツに徹底的にこだわる男たちの情熱を、仕事にかける情熱にも重ねたい。

問い合わせ情報

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ルイジ ボレッリ(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター TEL:0120-137-007)

styling:Mitsunori Aoyagi(Hamish)
edit & text:Yasuyuki Ikeda(Zeroyon)
photograph:Tatsuya Ozawa(Studio Mug)