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このコレクションの並びを見たときに「内角高めのストレート」だと思った。型は奇をてらわずベーシック。ストライクゾーンにきた直球と同じで思わずバットが出る。そこにデザイナーや鞄職人の細部へのこだわりと技術が加わる。絶妙なコントロールでインハイを狙うピッチャーのように。綿密な計算のもとにバッターは打ち取られ、私たちはこのバッグに魅了される。
(STYLE編集部)
「NAOKI TAKIZAWA」はISSEY MIYAKEのクリエイティブディレクターを経て独立した滝沢直己氏がデザインとプロデュースをするブランド。同氏はJR東日本の豪華寝台列車「TRAIN SUITE 四季島」クルーの制服や、イネス・ド・ラ・フレサンジュとユニクロのコラボコレクションなど精力的に活動するデザイナーだ。
そんな滝沢氏が自ら世界各地を訪れた経験に着想を得たデザインをバッグに落とし込んだという本コレクション。イタリア製のソフトで上質なレザーを熟練した職人がハンドメイドで仕上げる4種のバッグのデザインは細部まで考えつくされている。コレクションのバッグの内側には「SIMPSON LONDON」のシグネチャーカラーであるロイヤルブルーの最高級合成皮革が採用されるなど、全体に上質さを保ちつつ、モダンな印象に仕上がっている。それぞれのバッグを詳しく見ていこう。
肩に掛けても手に提げても様になり、カジュアルからビジネスシーンまで対応できる汎用性の高さはありがたい。外付けポケットが付属しており、収納力も申し分ない。
「これさえあれば問題ない」という絶対的な安心感があり、自前のバッグのローテーションに加えれば、先発投手の柱として活躍してくれそうだ。
体へのフィット感を意識したデザイン。週末に散歩やショッピングでカジュアルスタイルを締めてくれる不動のクローザーといったところだ。
調整可能なストラップとジップポケットが実用的なショルダーバッグ。「NAOKI TAKIZAWA」のシグネチャーであるフロントロックを使用。
先発と抑えがシーズンを通して活躍するためには信頼できる中継ぎが必要だ。ローテーションに不安を感じたら、このショルダーバッグの出番と心得たい。
サイドに開口部の大きさを調節できるフリンジベルトが付いたデザイン。中敷きが入っていて、いつでも美しいシルエットを保てる。内側のロイヤルブルーの合成皮革と黒革のコントラストが目を引く。
さながら試合の流れを変えるアンダースロー投手といった感じ。変化球で、きっちりと抑えてくれる。
上質さを追求する「NAOKI TAKIZAWA」の世界観を普段使いで楽しむことができる特別なコレクション。それぞれが個性を持ちながら、どれもミニマムでタイムレスなデザインで信頼のおける優秀なプレイヤーが揃う。バッグのローテーションが決まれば、ワードローブのパフォーマンスもグッと上がるはずだ。
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